宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第一章 トーナメント形式とシステム [2] カオス(混沌)からコスモス(秩序)へのシステム(組織)化

[2]カオス(混沌)からコスモス(秩序)へのシステム(組織)化。
[あらゆる方向に不規則に動き回るブラウン運動]
◎イギリスの植物学者ブラウン(1773-1858)が発見したブラウン運動は、液体・気体中の微粒子が、分子の熱運動(分子の不規則な振動)が生み出す衝突によってあらゆる方向に不規則に動き回る。これはカオス(混沌)である。しかしカオスにはすべて(あらゆる方向)が含まれる、法則以外は。
[秩序状態から無秩序状態へ移るエントロピーの法則]
エントロピーの法則は自然な状態では秩序状態から無秩序状態へ移る(崩壊する)という。所が、システムは、最初はブラウン運動のように試行錯誤しながら無秩序に活動するが、徐々に情報(物質・エネルギー)を蓄積して、体系化・法則形成する。このようにして組織化が進めば進むほど無駄な動きが減少する。つまりシステムはエントロピーの法則に逆らって、秩序化する。もちろん条件付きではあるが。
[無駄な全身運動する赤ん坊]
◎例えば、赤ん坊は目の前のおもちゃ(注意を引く物)に気がつくと、それを取ろうとする。その時、片手を伸ばすと、もう片方の手も空中でバタつかせ、足もボンボンとけり上げ、体をよじり顔を振るの全身運動になる。
[成長につれて全体が分節して個別的に動く]
◎だが赤ん坊もある程度大きくなる(経験を積む)と、無駄な動きが少なくなり、ついには片手だけをすっと伸ばして目的のものをつかみ取る。最初期の分化されていなかった全体は徐々に部分・要素に分節され、しかもそれぞれは徐々に自律して個別に動く。がしかし、必要とあればすべてが一丸となって働く。
[エントロピーを減少させる核・中心点・目標]
◎自然界はエントロピー(無秩序度)が増大する方向に向かう。しかし核・中心点・目標を置くと、そこを拠点として集合・統合・集中が始まる。バラバラの無秩序状態に、核・中心点・目標を設定すると、エントロピーは減少する。眠った子(寝太郎)は目的を見つけると起き上がる。
[知識・情報・経験不足は無駄な動きが多い]
◎赤ん坊ほどでなくても、子供が幼ければ幼いほど、知識と経験不足から全方向的無目的な動きが多い、ブラウン運動のように。それはヒトでなくても同じである。例えば、ヒトデをひっくり返すと、最初の内は五本の指(足?)をバラバラにでたらめに上下運動させる。
[方向性の獲得が無目的な動きを協調した動きへと切り換える]
◎しかしひっくり返ったヒトデもその内の一本が砂地に打ち当たると、すぐに他の四本の指は勝手な動きを止めて五本の指が互いに協調して体が起き直る動作へと切り換える。同様に全方向に流れようとする水に水路を引くことによって氾濫(反乱)は治まる。
[法則に従って効率的に自動運転(自律化)する]
◎システムは最終的に完成した型(法則・規則)ができると、それに従って自動運転(自律化)が始まる。いったん型が出来上がると、試行錯誤(ボトムアップ方式)で成功にたどり着くよりも、成功例を頭にたたき込ん(トップダウン方式)で、それを繰り返す方が効率的である。例えば、その方式での訓練がイメージトレーニングである。体が無意識(自動的)に動く・反応するまで訓練する。
[個々の混沌の知識と統合・秩序化された法則]
◎しかしこれが行き過ぎると、成功例をたたき込むだけが学習だと勘違いすることもある。そうなれば情報を収集・蓄積して体系化・法則形成する能力が鍛えられない、日本の効率重視型集団学習方式のように。
[教育は二段階で指導すべし]
◎学習は二段階でなされるべきである。�@情報(成功例)を蓄積する(情報収集・暗記)段階と、それらを元にして�A情報を体系化・法則化する(創作・発明・発見)段階と。この(暗記中心から創作中心への)切り換えができずに落ちこぼれる者が多い。半分は(親を含めて)教育者(それに教育行政)の責任である。
[効率と摩擦]
◎組織化は下開き山型の二次関数(矛盾的自己同一・放物線)である。ある規模を超えると、効率(上昇)よりも摩擦(下降・解決できない問題の大量発生)の方が大きくなる。そうなれば、システムは全体を要素・部分に分割して、各部分に別々の機能を持たせ分業(多様化)させる。そして全体(中心・上位階層)がそれら(周辺・下位階層)を統合する方式に切り換えるという複雑化をはかる。
[多岐に渡る分化・分業と、それを統合する指導力・統率力]
現代日本の成熟した社会では分化・分業・専門分野が多岐に渡る。しかしそれぞれが個々バラバラでは大きな仕事はできない。今やそれを統合する能力(指導力・統率力・調整力)が問われる時代となり、指導者は統率力・統合力が要求される。英雄とは極めて高い統合力を持つ者のことである。
[混沌(カオス)を分化・発展して出来上がったコスモス(秩序ある宇宙)]
◎宇宙は、あらゆる潜在的可能性を持つ混沌(カオス)の海をどんどん分化・発展させることによって、現在のコスモス(秩序ある宇宙)に成長・進化した。カオスの反対はコスモス(秩序と調和のある世界)で、「宇宙」を意味するが、元は「完全体系・秩序・調和」を示した。
[カオスは秩序を持たないが万物を生み出す根源]
◎混沌(カオス)は、天地創造の神話で、天と地がまだ分かれず、まじり合う状態、ギリシア神話の宇宙開闢説における万物発生以前の秩序なき状態、同時にすべての事物を生みだす根源、ビッグバン以前の宇宙である。
[天=天国=意識(精神)=神と地=地獄=肉体=物質=悪魔]
◎地は万物がそこから生まれそこへと帰ってゆく場所、地は母(自然・物質界)で天は父(法則)を表す。
◎私は山口県秋芳洞へ修学旅行で行ったが、そこの鍾乳洞は口から肛門へと長く連なる消化器官を連想させる。事実そのような場所の見物を胎内巡りとも呼ぶ。
[人は天=天国=意識(精神)=神と地=地獄=肉体=物質=悪魔の合体]
◎鍾乳洞では天井から鍾乳石(天井にできる石灰岩質のつらら状沈殿物)が垂れ、床には石筍が立ち上がる。その天井を天(意識・心)に、床を地(肉体・物質)にたとえると、人は天井の鍾乳石と床から盛り上がる石筍が合体してできあがる、ダビデの星のように。
[人間には天国と地獄が同居する]
◎仏教哲学者鈴木大拙(貞太郎)(1870-1966)はいう、「萌え出る芽は天を指すが、根は深く〜大地にくひこんで居る」と。
◎天=天国=意識(精神)=神で、地=地獄=肉体=物質=悪魔となり、人間の中に天国(天を目指す萌え出る芽=意識)と地獄(大地に深く食い込む根=肉体)が同居する。