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第一章 トーナメント形式とシステム [4]成長・進化・発展は量の増加、機能の多様化、構造の複雑化

[4]成長・進化・発展は量の増加、機能の多様化、構造の複雑化
[共通の祖先形とそれの変形による進化]
◎ヘッケルはいう、「自然体系のさまざまの従属的な群、すなわち綱、目、科、属などといったカテゴリーは、系統樹の太さの異なる枝であって、その放散の程度は、血縁のある生物体がお互いに、そして共通の祖先形と、系統的に離れている程度を示す」と。
◎祖先形(元型)の変形(枝分かれ)によって放散(異なった進化生物)を作り出す。このように環境に合わせて部品の入れ替え・手直しによって小進化を生み出す。
[成長は、量の増加、機能の多様化、構造の複雑化・高層化]
◎成長は大ざっぱにいえば、1)情報・物質・エネルギー量の増加、2)機能の分化・多様化、3)構造の複雑化・高層(多層)化である。機能は働き・作用・活動・能力を、構造は素材で組み立てられた仕組みを意味する。このような変化を、個人の場合には成長・発達と呼び、生物界全体には系統発生(時間的流れから見た形態的変化)・進化を使う。
[脳容積の増大は成長の一面]
◎人間の脳は、ゴリラの二倍あり、チンパンジー(霊長目ショウジョウ科チンパンジー属)の三倍もの容積がある。しかしゾウは四千から五千gの脳を持ち、クジラにいたっては1万g(10kg)の脳をもつものもいる。だから同じ系統内での比較に限定すべきだが。とにかく情報・物質・エネルギー量の増加は成長の必要不可欠な一大要因である。
[情報量の増加も成長要因]
◎脳容量だけでなく情報量の増加も成長要因である。例えば、母親からたくさん話しかけられる子供は身につける語彙数が増える。赤ん坊はお母さんのおしゃべりに聞き耳ずきんをかぶる。語りかけられた言葉は脳にしまい込まれる、意味はわからなくても、音・声として。
◎一歳半では、おしゃべり大好き母さんの子どもは、無口な母親の子どもより言葉を百語も多く覚え、二歳時には三百ほども多く身につけていた、という報告がある。
[成長につれて情報・機能が集中・集約される集中化が進む]
◎構成要素としての各部分は最初期にはみな同じ能力を持つ。しかしながら階層的分化が発生してゆくとある部分に機能が集中(中心化)し、他の部分(周辺)がその優勢な部分(中心)の統括下に置かれる集中(階層)化が起こる。これはトーナメント形式で発展することから来る必然の結果である。脳はその典型例で、特に人間では大脳新皮質(最上階層)に情報が集中・集約・統括される。
[地方分権的から中央集権化へと移行する脳神経系]
◎茶筒形の腔腸動物ヒドラは、神経細胞が全身に散らばり、網目状に張り巡らされた神経網(リーグ形式的散在神経系)に包まれる。それは機能的分担(分化)がなく、刺激に対して単純に反応する。
ヒドラより少し進化したミミズ(環形動物)は、神経細胞の小集団が線上にじゅずつなぎになった神経節を持つ。このような無脊椎動物の神経節は体のあちこちにあって地方分権的に体を制御する。
◎さらに進化した節足動物(トンボ・クモ)や軟体動物(イカ・タコ・貝類)は、神経系の集中化が進んで、頭部によく発達した神経節がある。ナメクジ(軟体動物)は数万個の神経細胞を持ち、機能はさまざまに分化する。
脊椎動物は脳が中央集権的にすべてを統合制御する。複雑に分化した多様な機能を統合する必要から、中央集権化が進む。これは正反合(混沌→分化→統合)の弁証法的展開である。
[ボトムアップ型成長とトップダウン型成長]
◎成長の仕方にはボトムアップ(ダーウィン)型とトップダウン(ラマルク)型とがある。人間はある段階までボトムアップ(遺伝子由来・試行錯誤)成長を続けるが、そこからはトップダウン(精神由来・目的志向)成長が可能となる。
[トップダウン型成長は前頭連合野主導]
◎そのある段階とは、前頭連合野(前頭前野)が主導権を獲得した思春期・青春期である。それゆえ人間以外(チンパンジーあたりでは幾分可能である)にトップダウン型成長はない。人間が訓練すれば話は別であるが。またこれ(トップダウン型)が人間の成長、特に知性面での成長にゆがみをもたらす原因ともなる。

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