宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第一章 トーナメント形式とシステム [6]一つに収束される上位と四方八方に拡散する下位

[6]一つに収束される上位と四方八方に拡散する下位
[上位にゆくほど集中し一つにまとまる]
◎上位と下位の大きな違いは情報・エネルギー・物質量の差で、上位にゆくほど量的に多くなる。ボトムアップ(求心型・上昇型)は、下から上に昇ってゆく、周辺から中心へと集中する方向で、最終的にはすべてが一つにまとまり収束する、会社組織でいえば社長の座である。
◎宗教ではその位置に神(仏)が座る。それをキリスト教では「キリストただ一人だけ」と言い表し、仏教では「唯我独尊」と表現する。
[下位にゆくほど拡散する]
トップダウン(遠心型・下降型)は、逆に上から下に降ってゆく、中心から周辺へと拡散する方向で、最終地点はなく無限に拡散してゆく場合と有限な場合とがある。現実世界では有限だが、理論の世界では無限をゆく。
[収束思考・集中思考・垂直思考・情報整理と発散思考・拡散思考・水平思考・情報探求]
◎これらを発想法に当てはめる。ボトムアップは一つに収束させる収束思考・集中思考・(同一項目内を探索する)垂直思考・情報資料整理体系化であり、トップダウンは四方八方へとサーチライトを照らすように拡散する発散思考・拡散思考・(項目間を渡り歩く)水平思考・情報資料探求となろう。
[分析処理から始め徐々に統合しながら高次へと進むボトムアップ処理]
◎次に感覚情報を例に取る。ボトムアップ処理は、まず細断された低次(下位)の要素(情報)の分析処理から始められ、それらを徐々に統合しながら高次(上位)なものへと次第に処理を進めてゆく。この処理方法は、生物体内で感覚情報を自動的・反射的に処理し、受動的に受け取る知覚方式である。
[仮説と分析の進め方とを決定して、それらに即した情報を探すトップダウン処理]
◎それに対して、トップダウン処理は、情報処理の行われる前や途中で、文脈・背景情報や過去の経験知識に基づいて、上位階層で仮説と分析の進め方とを決定して、それらに即した情報を探し求める。能動的・意識的に注意を向けるとその処理が発生し、情報を選択・誘導する。
[トップダウン処理とボトムアップ処理は同時進行]
◎脳内でどちらか一方の処理だけが採用されることはなく、同時進行で、上位(トップダウン処理)と下位(ボトムアップ処理)とで情報のキャッチボール(仮説と検証)をしながら結論へと流し込む。
[解釈はボトムアップ処理とトップダウン処理の合作]
◎場面を視覚情報に限定して話を進める。下(感覚器官)から入って来る(ボトムアップする)視覚情報は、上(大脳新皮質)から来る(トップダウンする)記憶情報と照らし合わされて解釈が成立する。そういう点で解釈はボトムアップ処理(感覚情報)とトップダウン処理(記憶情報)の合作である。
[感覚情報と記憶情報との合作で画像を完成させる]
◎脳はボトムアップした視覚情報だけで完成画像を構成(ボトムアップ処理)できない(ほとんどの場合そうであるが)場合には、過去の視覚体験から得た知識(記憶情報)によって補完(トップダウン処理)した上で完成視覚画像を私たちに提供する。
[解釈・判断・決定・結論は感覚情報と記憶情報との一本化]
◎このように解釈や判断・決定・結論は感覚情報と記憶情報との一本化(合作)である。しかし一本化できないときには、最終的にトップダウン情報が採用される。とはいえわからない場合には解釈の下しようがないが。曖昧模糊としたままである。
[大きなシステムにありがちな情報の流れが悪い静脈瘤・静脈硬化症]
大企業病として、情報の流れの悪さがある。特に下(現場)から上(管理職)へのボトムアップ情報(静脈)の流れが悪い。その結果、静脈瘤・静脈硬化症が至る所で発生する。若さの秘訣は血液(情報)の流れがよいことである。最近は会社内インターネットによって情報流通が少しよくなったようであるが。
[情報が届かないの責任回避の手段にもなる]
◎所が、不祥事があった場合には、トップは情報の流れの悪さを逆手に取って(護身術は得意)、「それは知らなかった、知らされていなかった」と責任回避をはかり、部下に責任を押しつけるトカゲの尻尾切りをする。これは無能・無脳(指導力統率力・解釈力の欠如)を大々的に宣伝したことにもなるのだが、そのような頭を持ったままでよいのだろうか。
[文脈から切り離された独善的な情報処理]
◎我々人間は自らを自然環境(文脈・背景)から切り離したために、文脈(自然)に基づかない独善的(自分勝手)な情報処理が横行する。文脈・背景の中でだけ正しい意味・解釈・判断が生まれる。解釈はボトムアップ処理(事実)とトップダウン処理(記憶)の合作でなければならないのに。
[時代の推移を読み取れないワンマン]
◎創業者の社長・会長は自分が会社を一から創り上げたというおごりからか、周りの意見・助言・情報を無視しての独走(独善的判断)によって、会社を傾かせたり、方向を誤らせたりすることが多々見受けられる。
◎過去の実績(トップダウン・記憶)に頼りすぎて、時代の推移(ボトムアップ・事実・文脈情報)を読み取れない。何人もの創業者的存在が時代の大きな変化を読み取れずに道を誤っている。
[単語は自分の意味を自己選択できない]
◎単語は意味を持つ、それだけで意味を示しうる点で自律的である。所が一つの単語は通常いくつもの意味を持つので、その内からどの意味を選ぶかは自分(単語自身)では決められない。自己決定できない。
[単語の意味は背後の文脈が決定する]
◎単語の意味は背後の文脈が決定する。一つ上位の階層(文脈)がその決定権を持つという点では依存的である。だから単語は(同一階層上では)完全・自律的・全体でもあり、また(上位階層に対して)不完全・依存的・部分でもある矛盾的自己同一的存在である。
[自身の根拠づけは上位システムによって成立する]
アメリカの数学者・論理学者ゲーデル(1906-1978)が提唱した「ゲーデルの定理」(不完全性定理)は、あるシステムの自己根拠づけ(自己証明・自己保証)はそれより上位のシステムによってしかなし得ない。自身の根拠づけは上位システムによって成立する。
[最上位は何によって根拠づけられるのか]
◎では最上位のシステムは何によって根拠づけられるのだろうか。それは円循環(リサイクル)、原因は結果になり、その結果は新たに原因となる。玉突き衝突、ドミノ倒し、自分の尻尾をくわえたヘビ、環状線などなど。
[日本語の「自分」(一人称)と英語の"I"]
◎日本語は「自分」(一人称)を表す言葉をたくさん持つ。男であれば、「僕」「俺」「わたし」「わたくし」「自分」「手前」「わし」などなど。これらは自分が今どの背景の中に立つかを示す。どの自分を前面に押し出すかを決定するのは自分自身ではなく、自分が今立つ背景(環境)である。
[日本人は状況依存的で、英米人は状況独立的である]
◎英語はどのような自分をも"I"で代表させる。それはすべての(自我内)下位システムを統括する上位存在であることを示す。日本人はその時々で、その状況にふさわしい下位システムが自然に立ち現れ、それらすべてを統合する明確な核的中心存在はない。
[理解・解釈・納得は、自分の持つ背景・文脈・過去の履歴の中にそれを位置づける]
◎単語を意味づけ(選択)するのは文脈・背景だが、逆の立場(受信者)からいえば、理解・解釈・納得・意味づけは、自分の持つ背景・文脈・過去の履歴の中にそれを位置づける、ジグソーパズルの断片を所定の位置へはめ込むように。
[誤解を避けるには互いの背景知識を深く知る必要がある]
◎そうなれば、背景・文脈・過去の履歴が異なれば、当然理解・解釈・納得も異なる。しからば、異なる背景を持つ者どうしが理解し合うには、相手の背景に対する知識をかなりしっかり持つ必要がある。しかしながらともすれば自分の文脈からだけの理解に陥りやすい。