宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第一章 トーナメント形式とシステム [7]地球(環境)と生物(生命)との相互作用による共進化

[7]地球(環境)と生物(生命)との相互作用による共進化
[最上階にカオスが住み、その一段階下にウラノス(夫)とガイア(妻)が位置する]
◎カオス(混沌)から生まれ、ウラノス(天空)の母であり妻であるガイアはギリシア神話で大地の女神である。最上階にカオスが住み、その一段階下にウラノス(夫・天空)とガイア(妻・大地)が夫婦として位置する。ギリシア神話でも、混沌が分化・分裂して宇宙が生まれたと考えていたようだ。
[生命体とそれが生きる地球環境は一つのシステムをなして進化する]
◎「地球生命圏(ガイア)論」をラブロックとマーギュリスが提唱する。「生命体とそれが生きる惑星環境は、一体化した自己調節的システムを構成しており、その気候および大気の化学組成は生命体の生存に有効で、かつ定常性があるように積極的に維持されている。生命と環境とはこのように一体性を持って結ばれているのであり、両者は一つのシステムをなして進化する」と。
[生命と環境は進化と定常性とを合わせ持つ一体的システム]
◎生命とその環境は車の両輪(原因となり結果となる循環)のようにともに進化してゆく。生命と環境は進化(動的方面・変化)と自己調節による定常性(平衡方面・現状維持)とを合わせ持つ一体的システムを成す。
[地球の温度の恒常性は生物と無生物との協同作業]
◎地球上の生物と無生物、大気圏・海水圏・陸地圏・生物圏が一つの大きな恒常システムを形作る。地球の表面温度は平均では15℃だが、金星では数百度にものぼり、火星では零下数十度の冷たさである。月は地球に一番近い星であるのに、昼間は100℃以上になり、夜間はマイナス100℃以下になる。
[地球は太陽に依存しつつ自律する一つの巨大システム]
◎地球は太陽に依存(受け取り・受け入れ)しつつも自律(自給自足)する一つの巨大システムである。地球は物質面ではリサイクル(完全ではないが自給自足)しながらも太陽からエネルギーを受け取る。
[地球は太陽から高エネルギーを受け取り、高エントロピーを宇宙空間に捨てる]
◎地球は太陽から高いエネルギー(低いエントロピー)を受け取り、それを消費して低いエネルギー(高いエントロピー)を宇宙空間に捨てる。そしてすべての生物はほぼ同じことをする。各生物は地球(巨大システム)の一要素(下位システム)だからである。人間も車も高いエネルギーを食べて、低いエネルギーを排出する。
[緑色植物は低エネルギーを高エネルギーに転換する]
◎逆に(光合成により有機化合物を生産して貯蔵する)緑色(葉緑素を持つ)植物は低いエネルギー(二酸化炭素と水)に太陽エネルギーを付加して高いエネルギー(有機化合物)に転換する。
[地球は磁場形成と空気・オゾン層によって開放系から閉鎖系へと進んだ]
◎地球は磁場と空気・オゾン層の形成とによって、宇宙からの有害な放射線を跳ね返すバリアを作り出し、開放系から閉鎖系へ依存から自律へと進んだ。このようなバリア(防壁)を形成する空気・オゾン層を作り出したのも緑色植物である。私たち動物は緑色植物に足を向けては寝られない。
[新しい環境が新しい生物を生み出す]
◎細胞が自らを細胞膜で囲って生物となったように、地球も磁場と空気・オゾン層によって自らを包み囲む閉鎖系システムへと変貌した。地球は自らを作り替えることによって進化し、どんどん新しい環境を作り出して生物の多様性を産み出す。
[すべての生物は独自の環境を持つ]
◎ある生物にとっての環境はニッチ(生態的地位)と呼ばれるが、すべての生物(種)は他と異なる独自のニッチ(食物と敵との関係で決まる)を持つ。同じ場所に住んでいても異なったニッチ(階層・背景・文脈)に暮らす。
[環境は進化を生み出す原動力]
◎進化を産み出す原動力の一つは環境である。環境(変化)は動植物を進化させることで新しい動植物を産み出し、それらがひるがえって新しい環境となり、その環境に適応するようにさらに新しい動植物が進化する。企業でも生物でもまだ誰も入り込まない空間に新しい地位を築こうとする。
[環境と動植物とは拡大再生産するらせん形の循環をなす]
◎例えば、500万年ほど前の鮮新世に起きた内陸の乾燥(環境変化・挫折)が森の住人チンパンジーから平原の狩人(人類の誕生)となる自然選択を起こした。このように環境と動植物とは拡大再生産するらせん形の循環である。それが豊かな動植物と豊かな環境、すなわち豊かな自然を形成する。
[自分と相手は互いに影響を与え合う環境である]
◎自分は相手にとって環境であり、相手も自分にとって環境である。環境は、互いに影響し合い、生かし合う場である。
孟母三遷、かわいい子には旅をさせよ、氏より育ち。旅は新しい(未体験の)環境を提供する。
[新しい環境が新しい機能・能力を開花させる]
◎人は異なる(未知なる不慣れな)環境に身を置くことによって脳内に新しい機能が生み出される。新しい環境が新しい生物を進化(誕生)させるように、新しい環境が新しい機能・能力を開花させる。同じ環境では垂直的に深まりはするが、水平的に広がりはしない。
[社会・集団は、個人が物質的・精神的生活を営む環境]
◎社会・集団は、個人が物質的・精神的生活を営むのになくてはならない場・環境である。共同体(全体・環境)なくしては個人(部分)は生存できない。両者は互いに情報・物質・エネルギーを交換し合って成り立つ。
◎「俺の勝手だろ、私の自由でしょ」は成り立たない。それらの言葉には彼らが生かさせている環境が視野に入っていない。漂着した無人島で暮らしたロビンソン・クルーソーですら、彼の生きた時代文化をたくさん持ち込んだから故に生き延びた。
[自然環境の破壊と同時並行して社会も荒廃]
◎太陽から地球に莫大な恩恵が来るが、地球から太陽に対して何かお返しがあるのだろうか。太陽が崇拝されるゆえんはここだろう。個人にとっての生きる基盤・母体で、莫大な恩恵をもたらす自然環境を私たちはお返しに破壊する。自然環境の破壊と同時並行して個人を育てる人的環境(社会)も荒廃・崩壊・分解しつつある。根は一つである。共に暮らすか征服するか。
[自然が持つ浄化力(リサイクル能力)には限界がある]
◎自然が持つ浄化力(リサイクル能力・還元能力)が及ばない人工物質や浄化能力を超える汚染物が大量に投棄され続けた結果、今や自然は着実に死に向かっている。発泡スチロールやビニール袋は自然環境内の循環過程に組み込まれない(大きな視野から見れば組み込まれているが)で、いつまでも分解されずにその形のままで残る。我々には人工物が自然の秩序の中に無秩序や混乱を持ち込むのではないかどうかの吟味が必要である。人的環境に対しても。
[すべては秩序の中に正しく位置づける必要がある]
◎私たち自身(個々人)を含めてあらゆるものは自然秩序(システム)の中に正しく組み込まれているかの確認が求められる。いじめ・暴力・虐待などの悪は個人がシステム内に適切に位置づけられていないことが大きな原因であり、その存在を示す証でもある。
◎それはシステムの再編(再統合)が必要とされる時である。排除するだけでは問題の解決にはならない。
[抱えきれないほど大きな問題は上位に思い切って投げ上げよう]
◎とはいえシステムがそれを抱えるだけの力量があるかも問われなければならない。力量のないシステムが抱えきれないほど大きな問題を手放さない(一人で抱え込む)ことも問題ではある。さらに上位システムに問題を思い切って投げ上げよう。
[集団内に居場所を持たない者はフロンティアを求める]
◎集団内に居場所を持たない者はイギリス清教徒がしたようにフロンティア(未開拓地)を求めるだろう。地球に居場所を無くした人類はいずれ宇宙にフロンティアを見出すだろう。集団内に居場所を持たない者が新しいものを創造する。とはいえ悪を作り出すことも多いが。
[人類は宇宙の地球化を目指す]
◎宇宙空間での生活を実現させるための準備として、閉じられた自給自足の空間が作られ、そこで何ヶ月も外部とのあらゆる接触を断って生活する実験が進められている。人類はいつの日か宇宙の地球化を目指すだろう。すでに月の土地も分譲されていることだし。そうすると、あちこちに星の王子様・王女様が誕生するのも夢ではないかも。SF小説の世界ではもうとっくにずいぶんと実現している。