宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第三章 普遍・基本形と特殊・変形 [13]大きく束ねる上位階層の普遍(一般化)と細分化した下位階層の特殊(専門化)

第三章 普遍・基本形と特殊・変形
[13]大きく束ねる上位階層の普遍(一般化)と細分化した下位階層の特殊(専門化)
[普遍・共通・基本形・と特殊・限定・変形]
◎1)「一般・普遍・共通・客観・深層構造・同一性・(広い:横長)ゼネラリスト・指揮者・無限・無形・基本形・抽象・元型(集合無意識)・イデア・理」と、2)「特殊・限定・主観・表層構造・差異性・(深い:縦長)専門家・楽器奏者・有限・有形・変形・具体・個人無意識・事」。
[トーナメント形式の限定的低(下位)階層と普遍的高(上位)階層]
◎後者2)は、個物・個人・部分・要素を表し、トーナメント形式の低(下位)階層の特徴を示し、限りなく細分化されゆく(トップダウンした)現実の世界を表す。前者1)は、高(上位)階層を指し示し、個々の境界線を取り払ってすべてがつながった(ボトムアップした)相互に関係し合う空・無(無我・無自性・一切皆空)の悟りの世界へと向かう。
[感覚と分別心は切り分けられた差異を見て、直観はつながった空・無を見る]
◎感覚(肉眼)と分別心(意識)は後者を見る、差異を見ることで分別する。その区別(差異)をより細かく、より精密にしてゆく明確にすることによって自然科学は発達・深化した。前者の空・無の世界を見るには直観能力(霊眼・智慧)を開発しなければならない。
[深層構造は外部からの刺激・情報によって機能する]
1)五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)は生得的(先天的)深層構造を潜在的にもつが、誕生後に実際に体験する外部からの刺激・情報を受け取ることによって機能する、ガソリンを注入して始動するエンジンのように。情報は外から調達しなければならない、箱(構造)はすで(先天的)に作られているが、中身(情報)は獲得してゆかねばならない。
[お金は普遍(万能)で品物・商品は特殊]
1)お金は普遍(万能)で、品物・商品は特殊である。お金で実にさまざまな品物が買える・交換できる。お金はものの基準(普遍)でもある。お金が出現するまでは物々(特殊対特殊)交換でかなり多くの物を自給自足した。
◎商品券で言えば、お食事券は例に挙げたくないが、商品とお金の関係は、特定の百貨店だけで通用する指定商品券(特殊)とどの百貨店でも通用する共通商品券(普遍)との差である。
[貨幣制度が分業を可能にした]
◎貨幣制度が出来上がることによって、普遍(お金)と特殊(商品)との交換になった。それによって分業・専業が、一芸に秀でることが可能となった。近年になれば、さまざまなもの(品物も能力も抽象的な事柄も)がお金に変換できるようになった。今や「お金で買えないものはない」と豪語するものまで現れている。
[エネルギーも一般(普遍)と個別(特殊)がある]
1)エネルギーもエネルギー一般(普遍・上位階層)と個別エネルギー(特殊・下位階層)とに分けられる。エネルギー一般は実にさまざまな個別エネルギーに転換される、電気、光、化学、力学、運動、位置、熱、質量(重さ)などなど。個別・具体(顕在)エネルギーになる前のエネルギー一般は潜在エネルギーともいえる。
[太陽光はさまざまなエネルギーに変換される]
◎太陽光(電磁気エネルギー)は緑色植物によってグルコースやデンプン(化学エネルギー)に変換される。風車によって発電され、それが風呂のお湯を沸かし、それによって人の心がいやされ、明日へのエネルギーが生み出される。風吹いて桶屋が儲かる。
[トランプは絵柄と数字・符号を持つ]
◎普遍と特殊は、トランプが、裏面はすべて同じ絵柄(普遍)だが、表面はすべて異なった数(1〜13)と符号(ハート・クラブ・スペード・ダイヤ)(特殊)を持つのにたとえられようか。すべての特殊は普遍へ替えられる。
[物質もエネルギーの固まり]
2)エネルギーは他のエネルギーに転換されるだけではなく、エネルギーと物質とは相互に転換可能である。1kgの物質が完全にエネルギーに変換されると、日本全国の総エネルギー消費量をまかなうことができる。石油・石炭の化学的燃焼では質量の一億分の一しかエネルギー変換されず、原子力核分裂反応ですら一万分の一の変換に過ぎない。
[心的エネルギー(普遍)は置き換え(特殊化)・昇華できる]
3)心理学(精神分析)もいう、心的エネルギー(普遍)は置き換え(特殊化・水平移動)・昇華(垂直移動)できると。フロイトのいう(一次過程・快楽原則に支配される)「エス」は、「エネルギーで充満して」いて、「混沌であり、沸き立つ興奮にみちた釜」、時間・空間の定めがなく、潜在的可能性に満ちた絶対無、ビッグバン宇宙、ブラウン運動である。心的エネルギーも無意識という深い層では未だ未分化・不特定の普遍エネルギー状態である。
[エネルギーは発散・リサイクル・転換を求める]
◎エネルギーは発散(リサイクル・転換)を求める。動物は本能がその発散場所を指し示すが、本能が半壊した人間はエネルギー発散経路を自分で作り出さなければならない、自我を経由して。もちろん自我の関門をかいくぐるエネルギーも多いが。
[イデアはあらゆる事物の永遠・不変の元型・普遍]
4)古代ギリシアの哲学者プラトン(前427-前347)は「イデア」(あらゆる事物にとっての時空を越えた永遠・不変の非物質的元型・普遍)という。ダックスフント、柴犬、シェパード、セントバーナード、チワワ、プードル、ブルドッグ、チャウチャウ、スピッツなどなど。これらの犬(特殊)はイデア(犬一般・普遍)を分け持つ。
[普遍は個々をまとめる]
◎これらの犬の間の違いは大きいが、違いに目を(片)つむり、同一性に目を向けて一つにまとめた言葉が犬(普遍)である。さまざまな要素の内で同一性に着目して一つにまとめることが抽象化・一般化・分類分けである。
[本質は法則であり抽象化・一般化でもある]
5)本質(イデア)は抽象化・一般化である。いくつもの事柄の中にある大切な共通要素が本質である。法則も同様である。イギリスの物理学者・数学者・天文学者ニュートン(1642-1727)はリンゴが木から落ちるのを見て「万有引力の法則」を発見した。
[洞察は具体例から本質を読み取る]
◎法則の発見はある一つの具体例(特殊・リンゴが落ちる)の中にある本質部分(普遍・すべての物に働く引力が存在する)を読み取った瞬間を示す。これは洞察(個々の要素から全体のつながりを把握)である。さまざまな具体例から、それらに共通する本質部分の表現が法則である。
[洞察は具体例を共通項によって束ねる]
6)洞察はさまざまな具体例を共通項によって束ねる直観がひらめいた瞬間である。数学の定理・公式は個々の具体的問題を解くための鍵である。といっても、鍵束には余りにもたくさんの鍵がぶら下がっているので、どの鍵がどの鍵穴に合うかを探し当てるためにまたもやそれらを束ねるより高い階層にある法則がいる。そうなれば、法則も階層構造になっているといえる。
[人間は普遍(絶対無・仏)の特殊化(自己限定・自我)である]
7)西田幾多郎は「絶対無の自己限定」という。人間は普遍(絶対無・仏・イデア)の特殊化(自己限定・自我)である。彼は、絶対無を、「無でもなく有でもなく、それらを絶してそれらを包む...肯定と否定の彼岸にある」と説明する。
◎絶対無は、易経で言う、太極、気の原初の形で万物の源となる本体に近いものかもしれない。
◎巨大ビルのすべての部屋に電気がともった(あるいは、消えた)状態で、限定(部分化)することによって、文字が記号が絵柄が浮かび出す。人間が仏になるとは、特殊(自己限定・三日月・下位層)から普遍(絶対無・円満・満月・最上階層)に帰還する。
[霊(普遍・イデア)は人間(特殊)の中で無限で無窮に顕在化する]
8)鈴木大拙は「禅の思想」でいう、「霊は個多の人間を通して、その中に包蔵している可能性を無窮に顕現させてゆく。可能性は無限であるから、顕現も無限で無窮である」と。
◎霊(絶対無・仏・普遍・イデア)は人間(特殊)の中で無限の潜在的可能性を無窮(永遠で無限)に顕在化する。
[一切衆生悉有仏性は、特殊は普遍から生まれ普遍に帰るという]
9)鈴木大拙は最上階層に存在する霊(普遍)から説いたが、仏教は最下階層にいる「一切衆生悉有仏性」という。仏性は、現象を存在させる根拠、普遍・如来蔵・空・無・真如・性・土壌・(一切衆生の心の中に鎮座する仏になり得る)潜在的可能性・個人の心にある菩提心である。一切(特殊)のものが仏性(普遍)より生まれ、そこへ消滅してゆく。特殊は普遍から生まれ普遍に帰る。
[一切衆生草木国土は仏性を持つ]
釈尊はいう、「一切衆生草木国土悉く如来の徳相を具有す」と。如来の徳相(如来蔵)=仏性。一切衆生(特殊)は、如来(普遍・仏)になり得る可能性(徳相・性)を持つ。釈尊は、草木国土までも仏性を持つという。草木国土も宇宙原理に従うけれども。
[個々(特殊)はみんな仏性(悟りを開く可能性・普遍)を持つ]
10)「普遍と特殊」を詠んだ和歌を二つ紹介する。この二句は普遍(谷川の水・高嶺の月)と特殊(雨・あられ・雪・氷と麓のみち)の関係を述べる。それは一切衆生悉有仏性と同じ意味を示す。それぞれは違う(特殊)が、みなすべては仏性(悟りを開く可能性・普遍)を持つ(分有する)と。これらの句はちょっと(頭で練り上げた)分別くさい歌だが。
◎「雨あられ雪や氷と隔つれど、おつれば同じ谷川の水」。(一休禅師)
◎「わけ登る麓のみちはおほけれど同じ高嶺の月を見るかな」。(詠み人知らず)
[受精卵(普遍)は次々と分裂し細分して特殊化する]
11)受精卵は次々と分裂し細分化する。ウニ(棘皮動物)の場合、八つ(三回目の分裂)になっても、それぞれの部分(特殊)を分離して育てると完全な八匹のウニ(普遍)に成長する。特殊が普遍に帰る。四回目の十六に分裂すると、分離しても完全なウニには育たず、途中で発育が止まる。ある時点までは全体(普遍)であるが、それを越えた時点から純然たる部分(特殊)となる。