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第四章 多様性と統一性とをもたらす階層構造 [23]一様性・同質性・同一性・自他未分化・量から多様性・異質性・個性・自他分化・質へ

第四章 多様性と統一性とをもたらす階層構造
[23]一様性・同質性・同一性・自他未分化・量から多様性・異質性・個性・自他分化・質へ
[質は個性で、要素が統合されることによって現れ出る他とは比較できない特色]
◎質は個性である。さまざまな要素が機能面でまとまり統合されることによって現れ出る特色である。質が違うとは、他のものとは含まれる要素が異なる。質(異質性)が問われるときには比較はできない。
[量は差異のない同質で均一かつ一定の性質を持つ]
◎量は質(個性)があるとしてもそれを無視し、差異のない同質(同じ要素を持つ)と見なす。鉱物、金属、無機および有機化合物の多くは、物理・化学的にほぼ均一かつ一定の性質を持つ物質で、原子やイオンが規則正しい配列をとる結晶構造をもつ。
[量は部分と全体が同じ顔を持つ階層構造の底辺]
◎どこで切り取っても他と同じ性質を持つものは量(デジタル)、金太郎飴である。部分と全体が同じ顔を持つ。鉱物には部分も全体もない、部分とか全体とかの区別はできない、一様性・同質性である。階層構造の底辺は「量」で言い表せられるが、ある程度階層を上がると質が鮮明に現れ出る。重層構造が多様性(質的差異)をもたらす。
[進化は全体として多様性・異質性・個性が増す方向へ進む]
◎異質なものになるのは異なる要素が付け加わるからである。付加(突然変異)によって生まれる進化は多様性・異質性・個性が増す方向へ進む展開・拡大である。一様性から分化・分業によって多様性が生まれてゆく。一つの細胞が分裂によって多様な細胞に変化してゆくように。
[現実世界は常に変化する流転の無常である]
◎現実世界は一秒たりとも同じ状態にはいない無常(流転)である。この一秒はその前の一秒とは違う世界・違う歴史(異質性)を背負う。次の未来の一秒もこの現在の一秒とは違うものになる。
[現実を担えば同質の一秒はあり得ない]
◎それ故に、それぞれの一秒は同時には提示できない、相前後してしか提示できない。今の一秒はその前の一秒に新たなものが付け加わる、畳み込まれる。同質の一秒はあり得ない、現実を担えば。
[量はある性質に着目し、それのみを引き出して把握する]
◎量は抽象である。それは事物をある性質に着目し、それのみを引き出(抽出)して把握する。量は背後にある個性・現実性・具体性をすべて取り去って、ある一つの同質の要素だけで計る。一匹、一頭、一羽、一枚、一円などすべて一であるが、それらの背後にはそれぞれ異なるものを背負う。数学の世界、理論(科学)の世界は背後の現実を抜き去る量(一様性・没個性)の世界である。
[多様な世界が展開するには時間が必要である]
◎質は多様性(個性)の世界で、それを産み出すためには時間が必要である。宇宙が現在のような多様な世界に展開するまでに膨大な時間を要した。時間と空間を抜き去る科学は大切なものをも抜き去る、私たちの住む現実を。現実を捨て去った科学は肉体のない亡霊である。
[一局集中方式は一様性を作り出す]
◎動物は強いオスのリーダーが群のすべてのメスを独占すれば、そのオスの遺伝子がすべてのメスに広がる。これは一様性を作り出す強力な一局集中方式である。トーナメント形式の最上階にはただ一人の座席しか用意されていない。
[ネットワーク型・多極分散型集団は大きな多様性を生む]
◎一局集中型の対極にあるネットワーク型・多極分散型集団にするには、強力なリーダーを不在にさせて、極端には一対一対応型(つがい・トーナメント形式の最下層)にすればよい。これは大きな多様性を生む。
[時代は一局集中から多局分散へと移行]
◎人間社会は大きな流れとしては一局集中型から多極分散型へと移行している。日本の産業界もベルトコンベアーによる少品種大量生産方式から、作り手の顔が見える多品種少量生産(個性化)へと重点が切り替わりつつある。
[英雄は大統合・一様性を成し遂げた者]
現代社会に英雄が誕生しないのもうなずける。歴史が英雄を求めるのは大統合をうながす時である。英雄とは大きな統合を成し遂げた者に与えられる称号である。例えば、マケドニアの国王アレキサンダー大王(前356-前323)は、ギリシャとオリエント(東方地域)を含む空前の大帝国を建設して東西文化の融合を図りヘレニズム文化の基礎を築いた。日本では信長・秀吉・家康は統合三兄弟である。
[一本の管である消化器官は機能・目的に従って分化・分業・多様化する]
◎一様性といえば、消化器官は口から肛門まで一本の管である。進化的に逆登ればますますその感(管)がありである。逆に進化が進めば進むほど、口→のど→食道→胃→小腸→大腸→肛門と機能・目的に従って分化・分業・多様化する。
◎卵の中や胎内での細胞が分裂を開始してから初期の消化管は単なるホースのようにのっぺらぼうでどこも一様である。所が、日にちがたつにつれてくびれが入り部分的にふくれて機能的な分化が次第にはっきりする。
[細胞の多様性は進化が進むにつれて大きくなる]
◎細胞の分化度(多様化)は進化が進むにつれて大きくなり、卵・精子、血球細胞、神経細胞などの機能面・形態面での分化・特殊化が進む。カイメンでは十種類ほどの細胞があり、軟体動物(タコ)では五十五種類ほどになり、魚となれば百十種類を越えるほどもになり、さらに人間では二百種類を上回る。