宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第四章 多様性と統一性とをもたらす階層構造 [24]結合力(分解力)の増減する階層間での相転移

[24]結合力(分解力)の増減する階層間での相転移
[階層は結合力の程度を表す]
◎階層は結合力(分解力)の程度(大小・強弱)を表す。階層を高く登るほどに統合力は増す。逆からいえば、低い階層ほど、結合力が弱く、その分だけ分解力が強くなる。結合力と分解力の力関係はシーソー(矛盾的自己同一)と同じである。
[階層は上の方が新しい]
◎階層構造は上の方が新しい、下から上へと積み重ねられてゆく、上へ上へと積み上がってゆく積雪・地層や脳の重層的構造のように。あるいはまた樹木の年輪や波紋と同じように、中心(内)から外へ向かって重ねられてゆく。この場合は外周の方が新しい。
[階層は下から上へと新しいものが積み上げられる]
◎階層は下から上へと積み上げられ、各階層はかなりの自律性を獲得してゆくので、最上階を取り去っても残りは立派に成立する。しかしながら、最下階(基本要素)を取り去ると、それより上位階層は成り立たず崩れ去る。なぜなら、最下階層以外はすべて最下階層に依存しているのだから。親ガメこけたら皆こけた。
[一挙の崩壊は新しい時代の幕開け]
◎中位階が崩れ去った重みで上から下まですべて崩れ去った生々しい事例を世界中が目撃した。これによって私の中にあった「アメリカは強い」というイメージも同様に崩れ去った。前から徐々に崩壊しつつあったが。新しい時代の幕開けを感じるシーンであった。どんちょうがストンと落ちるように。
[水素・酸素と水とは異なる階層に属している]
◎全体が優先される(ひとつ上の)階層から見れば、その下位に位置するのは部分が優先される階層である。例えば、水素・酸素・炭素は独立・自律することができる。これを「部分が優先される階層」と呼ぼう。その元素同士、水素と酸素を結合すれば新しく水ができる、新しい性質(質)が生まれ出る。
[部分が有機的に結合すると一つ上位の階層へと昇る]
◎水が属す階層は部分(元素)よりも全体(分子)の方が優先される「全体が優先される階層」と呼べる。もちろん、これらの呼び方は相対的であるが、「部分が優先される階層」よりも「全体が優先される階層」の方が上位に位置する。
[無(混沌)から秩序が生まれるとは階層の上昇]
◎複雑さが臨界点「カオスの縁」に達すると、無(カオス)から秩序が生まれる。それぞれの元素が独立自存する状態をカオスと、それらが結合して分子(水・二酸化炭素)が生まれた状態を秩序と呼ぶ。無(カオス)から秩序が生まれる(創発する)とは、階層が上がる。
[最上階層は最上の秩序と最低の無が同居]
◎とはいえ、最上階層は最上の秩序状態であるとともに、最上(最低)の無の状態でもある、秩序=無秩序の階層である。秩序なき状態は無限の潜在的可能性を秘めた海である。規則正しい軍隊で立すいの余地なくすし詰めになった場所を想像して下さい。完全秩序はもはや身動きの取れない規則で埋め尽くされている。
[一つの階層から次の階層へは跳躍する]
◎一つの階層から次の階層へは跳躍する。なだらかに切れ目なく続くのではなく、飛び上がり、飛び降りる。ベルクソンのエランバイタル(生命の飛躍)である。一瞬のひらめき(インスピレーション)、イルミネーション(電飾)の点灯の瞬間である。この点灯の瞬間は最高である、神戸のルミナリエのように。この跳躍を創発とか、発明とか、創造とか呼ぶ。
[個人中心から集団中心へと臨界点で切り替わる]
アルバート=ラズロ・バラバシは「新ネットワーク思考」で、「臨界点の近くでは個々を見るのではなく、足並みをそろえて行動するコミュニティーとしてとらえるべきではないだろうか?」という。
[臨界点を経て相転移する]
相転移は、個人(個々)中心から集団(コミュニティー)中心への転回で、臨界点はある状態から別の状態に変化する境目である。水は臨界点を経て固体へ、あるいは気体へと相転移する。
◎これはエネルギーとエントロピーとの競争としても捕らえられる。低温ではエネルギーの方が優勢であるため、秩序ある(低エントロピー状態)結晶(規則性)が形成される。しかし高温では反対に、エントロピーの方が優勢になり、分子が無秩序状態になる。
[性質が変わる相転移は階層間の移行]
相転移は階層間の移動(移行)を表し、性質が変わる。相転移によって、さまざまな要素が有機的に結合して、それぞれの要素にはない新しい性質を獲得(創発)する。青と黄を結合(混色)することによって緑が生まれるように。
[混沌・無秩序の普通光と足並みが揃うレーザー光]
◎普通光は分子から放出される波が揃わない混沌・無秩序である。レーザー光は波の山と谷が揃い互いに重なってほぼ秩序立ち、互いに打ち消し合う減衰も拡散もない強い方向性を持つ。普通光が出す波はバラバラで統制の取れない烏合の衆(個人優位)で、レーザー光は軍隊(全体優位)行進のようにすべて足並みが揃う。普通光も相転移すればレーザー光になる。