宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第四章 多様性と統一性とをもたらす階層構造 [28]感覚→感情→知性→理性→直観へと上昇する知の階層構造

[28]感覚→感情→知性→理性→直観へと上昇する知の階層構造
[機械論的自然観をもとに近代科学は成立する]
ニュートンの運動法則は、宇宙を完全に自律した機械だと見なす。フランスの哲学者・数学者・自然学者デカルト(1596-1650)、イタリアの物理学者・天文学者ガリレイ(1564-1642)、ニュートンらが機械論的自然観をもとに近代科学を確立する。
[物質部分を超えて理論の適用範囲を拡大させてゆく科学]
◎科学の進歩は、理論の適用範囲を拡大させてゆく。今やその適用範囲を大きく逸脱する。今の科学者は忘れている。当時の科学者たちは物質部分は機械であるけれども、それにエネルギーと情報を付与する存在(神)を前提としたことを。それ故に、彼らは神の領域には足を進めないで、物質部分だけに限定して言及した。
[人格は外的人格と内的人格とで構成される]
ユングは、外的人格(社会に向けた顔)をペルソナと呼ぶ。それに対して、内的人格をアニマという。矛盾的自己同一なので、外的人格のみを育てれば、その対になる内的人格は裏面化して心の底に沈む。アニマを内面から発する無意識的態度(内面で肉体にも精神にも働く下位機能)だと見なす。
[内的人格は四つの階層を上昇する]
◎彼はアニマの四つの階層[娼婦的・生物学的段階→ロマンチック段階→聖母マリア的段階→叡智的段階]を提示する。アニマ像(イメージ)を育ててゆけば、当人の中で上昇・浄化(生物的要素の減少と精神的情報の増加)[生物学的(感覚)→情感的(感情)→聖母的(知性)→叡智的(直観)]が成される。
[人・社会の進歩は知の階層構造を昇ってゆく]
◎個人や社会の進歩は知の階層構造[感性(感覚的知覚・認識能力)→感情(感情的判断)→分別知性(左脳・分析的知性)→理性(右脳・統合的知性)]を昇ってゆく。今や「直観」(本質把握)を領域内に引き入れる時代が来ている。トランスパーソナル(個人を越え出た)心理学という形でそれは始まっているが。
[機能的統合をする理性]
◎本質とは何だろうか。例えば、時計を分解(分析的知性)して、部品を並べて個々に調べても一向に時計の機能(本質)は見えてこない。それを見る(直観する)ためには理性によって機能的統合をして働く現場を見る必要がある。本質は構造・仕組みではなくその働きである。
[知性は感覚情報を分類し、秩序づけ、法則化し、価値判断を下す]
◎五感から入って来る感覚情報は、ジグソーパズルで言えば何らまとまりのないばらばらに置かれた切片である。それを分類し、秩序づけ、法則化し、価値判断を下す、ばらばらの切片から一つの絵柄を構成するのが(感情的判断を含む)知性である。
[知性を越えた理性はより大きな統合へ向かう]
◎理性・総合力(結合力)・対立止揚力・右脳的思考・無分別は、脱個人・超個人的で、自分自身を対等な個人の集団の中の一員だと見なす能力で、全体を全体そのままに受け取る。西田幾多郎によれば、知性を越えた理性は、個人を超越する一般的意識体系によるさらなる統一の欲求を持つ。自己否定・脱皮(脱個人・超個人)によってより大きな統合へ向かう。
[知性・理性はともにいまだ感覚情報を元に思考する]
◎外界からの感覚情報を思考・知性・反省によって認識することで現実世界を知る。知性は判断基準として自我を中心に据えるが、理性はそれを超え出ている。その点では知性より勝るが、まだ感覚情報をもとに思考するから直観には劣る。
[感覚情報を解脱すると、存在のすべてを全体把握する直観能力が浮上する]
◎そのような認識行為の停止によって下から来る感覚情報を解脱・超脱する、その結果直観能力が浮上する。悟りの智慧(般若)は、認識・思考・推理・判断などの一切の分析(知性・理性)を排して直下に知る。知性理性を超越して存在のすべてを全体把握する。
[善悪を超越した人は誠の心、直観力を持つ]
◎鎌倉初期の僧で浄土真宗の開祖親鸞(1173-1262)はいう、「よしあしの文字をもしらぬひとはみなまことのこころなりけるを、善悪の字しりがほはおほそらごとのかたちなり」と。
[善悪を越えると誠の智力(直観能力)が創発する]
◎善悪(よしあし)を知る能力を与える果実をアダムとイブは食べた。善悪を知らぬ(超越した)人は誠(天地自然宇宙を生成運行流転させる根源的力)の心、誠を知る智力、直観力を持つ。知り顔の人は分別によって大空言(空事)を聞き見る。そらごとは空言(事)で、真実のこもらない空っぽの内容をいう。まことは神仏から来る真言(事)・誠である。