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第四章 多様性と統一性とをもたらす階層構造 [31]欲求は階層構成を成し、心の浄化はその階層を上昇する

[31]欲求は階層構成を成し、心の浄化はその階層を上昇する
[科学も宗教も欲求は階層構成を成すという]
◎仏教は欲求を三段階に分け、科学は二分[肉体的・生得的な・生理的一次的欲求(苦痛回避・睡眠・排泄・性欲)→意図による社会的後得的二次的欲求(地位・名誉・金銭・支配・財産・権力)]する。
[キリストは求めるべき糧を二段階に重層した]
新約聖書はいう、「人の生くるはパンのみにあらず、神の口より出ずるすべての言葉による」と。
◎生きる糧としては、身体的栄養物(=パン)と精神的栄養物(=言葉)とがあり、その内では精神(意識)の優位を示す。キリストは身体的と精神的との二階層に分けた。
[心理学者マズローは欲求階層説を唱える]
アメリカの心理学者マズロー(1908-1970)は欲求階層説を唱えた。人間の欲求を1)生理的欲求→2)安全欲求→3)社会的(愛情・愛着・所属)欲求→4)自我成長(自己評価)欲求→5)自己実現(自己超越)欲求の五つに分けた。これらの欲求は低次から高次へ、段階的な階層構造を形成する。
[ある階層での欲求が充足されると、ひとつ上の階層へと進む]
◎ある階層での欲求が充足されると、ひとつ上の階層へと進む(進行・上昇する)。所が、欲求が阻止されると、一つ下の欲求階層へと引き下がる(退行する)。とはいえ、一度や二度の欲求充足や阻止でそうなるわけではない。飽和状態になったとか、恐怖心がつのったとかの感情面に強烈に動かされることによる場合が多い。
[安定した基盤の上に新しいものを積み上げる]
◎信頼・信用は安心感(同じ状態の継続)である。それへの欲求がマズローでは二番目(と三番目も)に来る。発展(変化)はこのような安定(不変)の上に築かれる。不安は退却を呼び出す。自然は安定した基盤(階層)の上に新しいものを積み上げる。
[欲求は、心身の平衡が破れた不均衡・緊張から生まれる]
◎欲求は、欠乏によって心身の平衡・均衡が破れた結果の不均衡・緊張から生まれる。その時欲求の実現が阻害されると、せき止めた水が貯まるようにフラストレーション(欲求不満)になる。欲求不満は一般に感情(ゆううつ・不安・焦り・怒りなど)を生じさせる。その緊張・感情を解消するために攻撃的・逃避的・代償的行動など多様な反応が生じる。
[前頭連合野は別対象へと切り替えるスイッチを持つ]
◎代償的行動は、ある欲求が阻止され、目的達成が妨げられて、緊張が続く場合に、類似の別対象によって満足する、緊張を解消する。前頭連合野は別対象へと切り替えるスイッチを持つが、それが未発達の場合一つのことに固執・執着する傾向が強い。
[執着が去るとは選択肢を増やすことであり相対化すること]
◎仏教は固執・執着を去れ、心を浄化せよという。低次・基礎的欲求であればあるほど優先して求められる。低次から高次の欲求へと順次出現して満たされると、充たされた欲求は漸次活動を停止する。主要課題ではなくなる。
[より上位の階層へ活動拠点を移すと下位の欲求機能活動は部分化する]
◎心の浄化は、階層構造のより上位に活動拠点を移す(権限委譲する・最終決定者になる)ことによって下位の欲求機能の活動は相対化・部分化・弱体化され、上位の欲求活動がそれだけ優勢となる。

マズローが伝えたかったこと

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