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第五章 矛盾しながらも統一する矛盾的自己同一 [33]統合・協調・並列の右脳と分離・競争・逐次の左脳

[33]統合・協調・並列の右脳と分離・競争・逐次の左脳
[トーナメント形式の全体・統合・上昇へ向かう右脳]
◎右脳の特質は、全体、統合・統一・総合、集団、有機体的、ボトムアップ処理、受動・受動意識・無意識、不随意・自動、協調、同時・並列・複雑系、(電磁)波、理性(止揚・直観)、注意維持・拡散・大まか・暗示・発散、依存・関係、アナログ(画像・イメージ・メロディ)、自己、空間・平面、肯定・受容・服従、背景・文脈・地・周辺、普遍・一般、客観、エピソード記憶・体験である。
[トーナメント形式の部分・分解・下降へ向かう左脳]
◎左脳の特質は、部分、分解・分析・分化、個人、要素還元的、トップダウン処理、能動・能動意識・意識、随意・意志・意図・手動、競争、直列・系列・連続・逐次・線系、粒子、悟性(分別・知性)、選択的注意・集中・焦点・厳密・明示・収れん、自立・自律、デジタル(言葉・音符・符号・かな文字)、自我、時間・線、疑問・否定・反抗、前景・図・中心、特殊・専門、主観、意味記憶・理論である。
[ネズミでも左右脳の得意機能が異なる]
◎サルは早い連続音を判別する場合、精密処理できる左脳が優位に立つ。このような右脳と左脳とが異なる得意分野を持つ役割分担はサルから始まるのではない、すでにネズミでも左右脳の得意機能が異なる。左脳は相前後する連続的情報を時間的逐次処理する。右脳は同時進行する全体を一度に提示する情報を空間的並行処理する。
[右脳的判断(空間化・総合化・イメージ化)と左脳的判断(時間化・系列化・言語化)]
ユングの「布置」は右脳的判断(空間化・総合化・イメージ化)で、「因果関係」は左脳的判断(時間化・系列化・言語化)である。左脳は意識が優位的に制御し、右脳は自然(無意識)が統制する。
[カナリヤの歌声は左脳が担当する]
◎カナリヤは左脳が傷つくと歌わないが、右脳の損傷では歌に影響を受けない。右脳は文字を扱うにしても空間的形(アナログ)として処理し、左脳は文字を時間的つながり(デジタル)として処理する。かな(ひらがな・カタカナ)と同様に手話も言葉として左脳で処理される。右脳が損傷しても文法や語段階での間違いはしないが、物語の筋をたどる全体的論理(粗筋)を把握できない。空間的形を処理する右脳が顔の識別を担当するのはうなずける。
[右脳と左脳とは脳梁を通じて交流(情報のやり取り)する]
◎右脳と左脳とは脳梁(左右脳を相互に連絡している約2億本ある神経繊維の集合体)を通じて交流(情報のやり取り)する。しかし脳は左脳だけ右脳だけの片脳活動もできる。優位脳は一時間半で交代するようである。
[情報内容が優位を決定する]
◎左脳は文章であれば内容に関係なく活動するが、右脳は内容(抽象的文章では不活発で、民話では活動する)如何による。例えば、イメージを喚起する説話・民話・童話などは右脳を活発にする。とはいえ、どちらか一方に活動が片寄る人も大勢いるが。
[右脳で作り出した新しい音楽を左脳にある音符を使って表現(翻訳作業)]
◎ついつい引き込まれてしまう名曲、「ボレロ」で有名なフランスの作曲家ラベル(1875-1937)は音楽に関する失語症(言語の理解・発語の障害)にかかった。頭の中で創作した音楽を楽譜(言葉)にしたり演奏したりできない。つまり右脳で作り出した新しい音楽(イメージ)を左脳にある音符を使って表現(翻訳作業)できない。
[素人は直観的・全体的処理の右脳が、音楽家は意味的・分析的処理の左脳が活発化]
◎音楽に関して、素人は直観的・全体的処理の右脳が活発になり、音楽家は意味的・分析的処理の左脳が活発になる。専門家にとって音楽は言語的働きをするかららしい。つまり当人の能力段階によって優位脳が代わる。
[使用脳によってその人の熟知度熟練度が測られる]
◎坂野登は「無意識の脳心理学」でいう、「顔を何度も繰り返し見せていって顔に対する熟知度を次第に増やしていくと、初めの段階で右半球優位的な処理をしていた被験者は次第に逆の左半球優位への傾向をとりはじめるが、やがてまた右半球優位性が回復してくる」と。
[未分化段階(右脳)→分化段階(左脳)→統合段階(右脳)へと変転する]
◎どちらで処理するかを示す優位脳は未分化(初級)段階(右脳優位)→分化(中級)段階(左脳優位)→統合(上級)段階(右脳優位の全脳)へと弁証法的に変転する。
[左脳は木(細部・部分)を見、右脳は森(前後関係・文脈・大まか・全体)を見る]
◎「木を見て森を見ず」という。左脳は木(細部・部分)を見て、右脳は森(前後関係・文脈・大まか・全体)を見る。細部に目が行く(左脳優位)者は全体構造が見えない。高い所から俯瞰する(右脳優位)者は、全体が見えるが細部が分からない、広範囲に見えるが、綿密に詳細に観ることはできない。右脳は高い階層に登って眺め、左脳は低い階層に降りて観察する。
[右脳はその場の状況を展望し、総合的に判断する情報を提供する]
◎右脳は三次元の認識能力を持ち立体的にまとめ上げる。それをなくすと、前景と背景とがごっちゃになり、自分が今居る位置・空間的関係が把握できない。右脳はその場の状況を大きく展望し、客観的な把握を行う総合的に判断する情報を提供する。
[右脳はいろいろな断片を集めてひとまとまりの全体像を作り出す]
◎右脳はさまざまな断片(情報)を束ねてひとまとまりの全体像を構造する。文章に対しては要点をまとめて粗筋を提示する。左脳の検索用項目(見出し)を右脳の貯蔵資料に添付すれば、好きな時に取り出せる。たくさん貯金していても、必要なとき(意識的)に引き出せないならば役に立たない。
[左脳は言葉の額面通りの意味を素早く取り出し、右脳はいくつもの意味を把握する]
◎左脳は言葉の文字通りの意味を素早く取り出し、右脳は一つの単語が持ついくつもの意味を全体把握する。それ故に言葉の間の隠れたつながりを見つけ出す右脳はジョークを理解し、比喩を理解する。
[右脳は低周波を感知し、左脳は高周波を捕らえる]
◎右脳は低い周波数(長い波長)を感知し、左脳は高い周波数(短い波長)を捕らえる。短い波長は細部を、長い波長は全体的な様子を伝える。子どものお城である子宮内には低い周波数しか届かない。英語は日本語よりも周波数が高いが、このことは右脳・左脳の優位さに関係があるのだろうか。
[感覚情報処理は、大まかな判断コースと詳細な判断コースとがある]
◎感覚情報処理は、大脳辺縁系に向かう大まかな判断コース(動物的勘)と、大脳新皮質に向かう詳細な判断コース(知的理解)とがある。大まかな判断は仮説的・全体的状況の直感的・無意識的把握として働き、詳細な判断は仮説に対する客観的な認定を受け持つ。大脳辺縁系の判断が右脳に該当し、大脳新皮質コースの判断は左脳に該当する。