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第五章 矛盾しながらも統一する矛盾的自己同一 [36]不均衡・落差・不一致・差異から生まれるストレス・感情・情動

[36]不均衡・落差・不一致・差異から生まれるストレス・感情・情動
[ストレスは、精神的・肉体的な緊張・苦痛・刺激で引き起こされる]
◎ストレスは、普通の精神的・肉体的緊張・苦痛・寒冷・刺激・状況で引き起こされる身体機能の変化である。そのようなストレスに対して均衡を保つ復帰する防衛(恒常性維持)機能が働く。例えば、脳下垂体前葉・副腎からのホルモン分泌が起こり環境に対して適応する。
[退行的反応・心身症は一方に片寄って復元しない状態]
◎しかし刺激が大きすぎると処理・対処できず、慣れ親しんだ固定的退行的反応をする。タヌキはタヌキ寝入りし、多くの虫たちは死んだ振り(無視)をする。人間の場合、それでもだめな時は心身症(胃潰瘍・不眠・夜尿症など)が発症する。これは天秤・シーソーが一方に片寄って復元しない状態である。あるいは、軍隊が前線から撤退して安全地帯に避難するのにたとえられよう。
[感情はそごをきたすとスイッチが入る警報装置]
◎「世は事もなし」「日々是好日」のように、一致する限り感情は起動しない。感情はそご(食い違い・差異・不一致・ずれ)をきたすとスイッチが入る警報装置である。欲求もしかり。欲求・感情・精神が完全・統一・一致にある時が快楽・満足であり、不完全・分裂・不一致にある時が苦痛で、それを解消しようとして欲望・理想が生まれる。その解消の仕方に自分を高める方向(上昇気流)と、相手をおとしめる方向(下降気流)とがある。
[扁桃体視床下部による攻撃行動の発現を制御調節する]
◎怒り(攻撃)・恐れ(逃避)はかなり進化的初期の動物でも見られる。感情的怒りが生まれる場所は扁桃体で、肉体的怒りを外に打ち出す場所は視床下部である。扁桃体(上位中枢)は視床下部(下位中枢)による攻撃行動の発現を制御調節(入り切り・促進抑制)する。
[視床下部による攻撃と扁桃体による攻撃の違い]
◎感情を伴わない視床下部単独による攻撃行動は、刺激後ただちに出現し刺激がなくなれば直ちに消失する。感情を伴う扁桃体による攻撃行動は、徐々に出現し刺激がなくなってもある程度持続する。また、弱い刺激を繰り返し与えると徐々に加算され、ついに攻撃行動が起こる(切れる)。
[前頭連合野(最高中枢)が扁桃体を制御し、扁桃体視床下部を制御する階層構造]
◎理性回路は前頭連合野(最高司令部)が扁桃体(感情の座)を制御し、扁桃体視床下部(外部行動)を制御する階層構造を成す。恐怖事態に対しては、中学生時代では扁桃体の方が前頭連合野よりも圧倒的に活発である。十代後半ではある程度前頭連合野が活発になるが、扁桃体の方が依然として優勢である。
◎大人では扁桃体よりも前頭連合野の方が活発となる。とはいえ、必ずそうなるわけではないが、忍耐を積むことによって優位度が扁桃体から前頭連合野へと徐々に上昇移行する。
[感覚的・肉体的・精神的快楽]
◎快楽を善と考え、それを追求する快楽主義は、感覚的・肉体的快楽を中心とするものと、(感覚的欲望を抑える)精神的快楽を真実の快楽とするものとがある。精神を持つならば、感覚的・肉体的快楽だけでは、本当の満足が得られない。いつも本当ではないとの不満が残る。
[感覚的・肉体的欲望の充足を目指す道徳と人格完成の実現を目指す道徳]
◎道徳(秩序維持のための規範)においても、感覚的・肉体的欲望の充足を幸福としその実現の道を歩む考えと、理性によって感覚的(精神的)欲望を否定・克服・制御する人格の実現・完成を目指す考えとがある。感覚的・肉体的は個人的であるが、精神的・理性的は個人を越え出ている。
[徳の実践を生活目標とした哲学者アンティステネス]
古代ギリシアの哲学者アンティステネス(前445-前365頃)は、ソクラテスを深く尊敬し、徳(動物を超えた人間の優位性を示す精神的な人格/勇気・正義感・愛・誠など)が唯一の生活目的であり、欲望の制御と労苦(刻苦勉励)とによって心の平静と内面的自由の獲得を勧めた。
[矛盾的自己同一が一方に傾くと感情が発生する]
◎憎しみは愛情が奪われたがために生じる。悪・悲しみ・失望・嫉妬・復しゅうなどは奪われたがために生じる。もともとない事柄からは生まれない。悪=分解=憎=悲しみ=不完全(欠乏)=不一致は矛盾的自己同一が一方に傾くことから生じる。このことから中庸が叫ばれるようになった。
[満足が続くとやがて堕落する]
◎人格完成途上の者にとって、善=統合=愛=喜び=完全=一致=楽=満足は、満足の連続は、向上心の崩壊につながる。満腹が眠気を招くように、やがて退廃・よどみ・腐敗・投げやり・いい加減な態度・身を入れない態度へと堕落する。
◎過ぎたるは及ばざるが如しである。少々の不満足が明日への糧・活動源となる。新しいほうきはよく掃ける、新米は古米よりもおいしい、畳も新しい方がよい。
[最大多数の最大幸福]
◎理想実現欲求の満足が幸福をもたらす。イギリスの法学者・思想家ベンサム(1748-1832)はいう、「最大多数の最大幸福」と。
[円満なる発達を遂げることが最上の善・最大の幸福]
◎自分の中で様々な多数の能力を発展させ、円満なる発達を遂げることが最上の善・最大の幸福である。また意識は最大幸福を目指して、自愛→(家族・親子・師弟・友人)愛→地域愛→愛国心→世界・地球・人類愛へと向かう。