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第六章 変化へ開く受容・開放と現状維持の対決・閉鎖 [44]変化へ開く開放系と変化を閉ざす閉鎖系

[44]変化へ開く開放系と変化を閉ざす閉鎖系
[閉鎖的だが部分的開放系であるシステムは、堅い法則だが例外を認める]
◎「成熟したシステム」は「かなり閉鎖的」だが、「部分的開放系」である。なかなか変化しない(閉鎖的)が、変化への道(開放性)を含む。堅い法則だが、例外を認める。矛盾を含む存在である。
[細胞も選択的閉鎖性を持つ]
◎例えば、「細胞膜」にも部分的開放性が当てはまる。欲しいものは取り込むが、不必要なものは閉め出す選択的閉鎖性を示す。細胞膜ですら自我的分別をする。生きるとは、必要物を外から取り込み、不要物を外に放り出す利己的悪なのだろう。例外なく迷惑をかけることなく生きられない。
[ボスザルが中央に鎮座するニホンザルの群は部分開放的閉鎖系]
◎生物段階で示せば、「ニホンザル」(日本特産の霊長目オナガザル科)は、群を成し一頭のボスザルが中央に鎮座するシステムである。群は移動中に他の群に出会っても交流・接触せずに距離を取り、威嚇しながらもお互いに争いを避ける。その点では閉鎖系だが、完全な閉鎖系にしてしまえば群は近親結婚によっていずれ消滅に至る。
[消滅に至らないように部分的開放する]
◎そういう羽目に落ち入らないために、他の群から離れた若いオスザルを群に迎え入れたり、群のメスとの接触を黙認したりする。時にはサル目を忍んで逢い引きする若いサル達もいて、結果的に意図せずとも部分的開放系となる。
[エントロピー増大の原理により閉鎖系はエントロピーが増大し続ける]
◎外部と一切交渉のない完全閉鎖系は、エントロピー(無秩序度)が増大し続ける。これを「エントロピー増大の原理」という。それを避けるために、システムは部分的に開放して、物質・情報・エネルギーの出し入れで維持・成長をはかる。
[外部を遮断(閉鎖・鎖国)して空想世界・思考世界に浸る上位脳を人は持つ]
◎人間の脳では、外界から刺激を受けて即座に外界へ向けて反応する脳(本能)の上に、内界から情報を受けた司令部(前頭連合野前頭前野)が内界に向けて応答を送り返す上位脳が多重する。
◎この時内界は外界とは直接応答しない独自の内部世界だけで互いに情報をキャッチボールする。これによって人は外部を遮断(閉鎖・鎖国)して空想世界・思考世界に浸る。瞑想も同様に外部を遮断するが、ただ空想も思考も停止する。ただ受動的に内部情報の流れを傍観する。
[内部世界だけに閉じこもると情報が片寄りすぎて極端な「おたく」になる]
◎内部世界だけに閉じこもる状態が常態化すると、情報が片寄りすぎて極端な「おたく」になる、あるいは外部の声に耳を傾けない頑固親父と呼ばれかねない。そうなれば、片寄りを回復する・矯正する対抗的・拮抗的・相補的情報・手段がなくなる。
[待つ心は開き、拒否・否定は心を閉ざす]
◎自分が持つ枠組み(基準)に合わない出来事(不要物・異物・突然変異)に出会ったとき、拒否・否定するのが心を開かない閉鎖である。枠組みに合わない事柄に対して否定せずに自ずと解決するまでじっと待ち続ける(受容的)態度が心を開いている開放である。相手の成長を願うならば、指導者側に待ち続ける態度(忍耐心)が望まれる。門戸開放して待ち受けねばならない。閉鎖は閉鎖を招く。自らの心の開示は、相手の心の開示を招く。
[ありのままの受容・肯定はやがて閉鎖へと行き着く]
◎ありのままの肯定は、「現状がよい」(無常が本当だからそれは違うのだが)で、変更を認めず現状維持を保証し、やがてお山の大将となり閉鎖へと行き着く。教祖によって創り上げられた教義は、金科玉条として無条件に無批判に肯定される。
注)肯定は、現状が良いとの判定だが、受容は、そのような良い悪いの判定をせずに、ありのままをありのままに受け取る行為である。
◎そうなれば、そこからは発展も変更も生まれてこない。閉鎖である。このような態度が宗教を排他的なものへと駆り立て、宗教どうしの激しい争いを呼ぶ。待ち受けることは全面肯定することではない。受容は肯定ではない。受容は現状維持も現状変更もともども受け入れる。