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このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第七章 自立(自律)と依存は閉鎖[開放]度の違い  [48]依存から自我の獲得と反抗期を経て自律へと至る

第七章 自立(自律)と依存は閉鎖[開放]度の違い
[48]依存から自我の獲得と反抗期を経て自律へと至る
[反対・反抗は分離・独立のための必要悪]
◎子どもは二歳半〜三歳頃から、自分の独立や存在を感じる・確かめるために、反対のための反対をする。反対・反抗は分離・独立・自立のための必要悪であり、自律性獲得の確認ともに反抗は沈静化する。正にあるものが成長発展するためには反が必ず必要である、と弁証法はいう。
[大人になるまでにくぐる二回の反抗期]
◎幼児の時期に意志が芽吹き、それが自我として徐々に発達して、他人からの命令・指示に従うことを拒絶する。わざと反対の行為・態度を示す場合さえある。この時期を第1次反抗期と呼ぶ。これは一時的に終わるが、また青年期に再発する。それを第2次反抗期と呼ぶ。
[子どもの自律欲求と親が懸念する能力不足とが差し違える]
◎子どもの自立への強い欲求は、確かな自立を支えるだけの能力が育っていないという不均衡を持つ。親・指導者は、その内で能力不足に大きな懸念を示して、上から指導しようとする。子どもは、自立の欲求から、そのような上からの指導に対して強い抗議行動を取る。
[押さえ込まれた反抗は拒絶・怒り・破壊・暴力を招きがち]
◎親・指導者がそのような反抗を頭ごなしに押さえ込むと、反抗は、親・指導者・体制を拒絶・否定・無視したり、激しい怒りの感情を表出したり、破壊的・暴力的な行動をひきおこしたり、いびつな性格になる可能性もある、成長を抑えられた木が横に伸びてゆくように。
[抑圧された反抗心は子どもの心の中でコンプレックスとしてくすぶりつづける]
◎抑圧された反抗心は以降ずっと子どもの心(無意識)の中でコンプレックスとしてくすぶりつづける。指導者が反抗を力づくで抑えつけるのは、指導者自身が真の独立(反抗コンプレックスの完全解消)を勝ち得ていない、独立の利点(自主性・能動性・積極性など)を理解し得ていないからだろう。独立の後に相互交流がぜひとも必要であるが。
[反抗を良いことだとして無条件に許容するのもよくない]
◎とはいえ、現実に強い反抗的行動を示されれば、良いことだと無条件に受け入れるわけにはいかない。実際にこうむる現実的被害を考慮に入れなければならない。しかも反抗(依存的分離)から反転して自立へと上昇(止揚)させねばならないから。
[システムは立ち上がるまで指導者が必要であるが一旦完成すれば自力走行する]
◎情報・物質・エネルギーを受容しながらシステム・プログラムが立ち上がるまでは、コーチ・指導者が必要である。がしかし、一旦完成すれば、自力走行ができる、自前の規則・法則をもとに動く。そこに記憶装置と情報処理装置があれば、知識・体験を蓄積して成長・発展してゆく。
[自己意志によって法則に従う心理的自律]
◎ドイツの哲学者カント(1724-1804)は、「自律」をこう考える。自分の欲望(下位機能)や他者の命令(外部法則)に突き動かされるのではなく、自らの意志(上位機能)で客観的道徳法則を立ててこれに従う。
[生物進化の一つの方向は閉鎖度(自律性)の増大である]
◎依存は外部からの影響・情報・力によって大きく左右され動かされる。自律は外部にあまり左右されないで自前で動く。自律するとは閉鎖度が増大する、依存するとは開放度が増大する。生物進化の一つの方向は閉鎖度の増大、つまり自律性の増大である。
[閉鎖性(自律性)増大は環境適応能力の増大]
◎外気温の変化につれて体温が著しく変わるトカゲ(変温動物)からそれにかかわりなく常にほぼ一定の体温を保つ(恒常性維持する)鳥類・哺乳類(恒温動物)へと進化する。そのことによって環境適応能力が高くなり、生息地域は大幅に広がった。
[初心者は一つ一つの動作を意識してつなぎ滑らかな動きとはならない]
◎自律についての例として突飛だが「舞踊」を上げる。それは師匠に依存しながら基本を習得する。初心者は一つ一つの動作を意識してつなぎ、幼子が言葉を探しながらしゃべるときのように、滑らかな動きとはならない。意識的に一つひとつの動作を身につけてゆく。これは将棋でも同じだろう。
[基本を習得すれば流れるような動きとなる]
◎そのようにして、基本動作を完全に習得すれば、言葉がそうであるように、意識しないでも一連の動作は切れ目なくなめらかに流れるようにつながる。自律的(自動的)に・無意識のうちに・心も費やさずに・力をも入れず自然な舞を舞う。
[習得すれば自分の下位機能として自走式機能が完成する]
◎言葉と同様に舞踊でも、習得すれば自分の下位機能として自走式の舞踊機能が完成する。自我が下位機能のスイッチを入れれば、自動的に舞いを舞う。このことは手・腕の動きで意思を伝える手話言語においてもしかりである。
[芸能・技能は無意識的下位機能による自律的活動である]
◎カントの自律は(他人の意志や下位の欲求ではなく)自らの意志制御による自律だが、芸能・技能は、意識・意志・自我による訓練を脱して無意識的下位機能による自律的活動である。カントの自律は自己意志の働きであるが、技術・技能の自律は上位的意志から下位的無意識機能への権限委譲である、あたかも中央の権限を地方に移譲するように。
[前頭連合野が組み立てる情報(プログラム)によって行動を計画する自律化]
◎随意的な行動は前頭連合野が主導する。幼い頃の他の力によって動かされる他律的(依存的)存在から、前頭連合野が組み立てる情報(プログラム)によって能動的に行動を計画し、自らを動かし環境へ積極的に働きかける自律的存在への変貌はカントの自律化である。日本人・東洋の自律は自然があるがままに振る舞う(個人が消えた)自律である。主人公の違いがそこにはある。