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第七章 自立(自律)と依存は閉鎖[開放]度の違い [49]防衛機制は自我作りには有効だが、更なる成長を抑え込む

[49]防衛機制は自我作りには有効だが、更なる成長を抑え込む
[防衛機制は、心理的安定をくつがえすような不安などから自我を守る]
防衛機制は、心理的安定をくつがえすような不安・葛藤・欲求不満・コンプレックス・罪悪感などから自我を守るため、それらを意識(領土)から追い出して無意識化(国外追放)させる意識的・無意識的な心の働き(鎖国政策)である。自我の転覆を起こすほど大きな心の揺れを生み出す原因を排除する心理機能である。仏教は自我が消えれば転覆するものがないぞと呼びかける。
[自我は現実適応を目指す]
◎心の内部を外部に映し出す(放り出す)投射や退行(心理的退避)・抑圧(不安材料の切り離し)・合理化(揺さぶられる感情を切り捨てる・フタをする知性化)などを使って、自我は現実適応を目指して、外界からの危険に対して自分を守り、内界での本能衝動(下位機能)に翻弄されないように抑制する。
[繰り返される防衛機制は自律化する]
防衛機制は自分の成長を促進するがはばむ。防衛機制も繰り返し行われれば自動化・自律化(下位機能化)・習慣化する、自我の統制から離れてゆく。習慣は条件反射である。習慣は前頭連合野より下位の階層が自律的に主導権・権限を最終判断者として保持する。
[成長をはばむ防衛機制は解除すべきである]
防衛機制が成長を促進する間はよいが、はばむとなれば機制を解除しなければならない。しかし言語化・意識化されずに入力された経験は想起しにくい。意識化・言語化とは前頭連合野にまで情報を上方発信させる。自動化した防衛機制を意識化するとそれは分解・解除可能となる。下位機能形成の逆回しである。
[思い上がってしまった日本]
◎話を個人のレベルから国のレベルへと切り上げる。日本は自民党主導で防衛機制を身にまとい、アメリカに追いつけ・追い越せを合い言葉に猪突猛進した。それを果たしたかに見えた途端力が抜けた。世界から羨望の目と揶揄の声とが飛び交い、思い上がり(バブル)が生まれた。
[致命的とも感じられる、いまだに癒えない崩壊を体験する]
◎諸外国からの羨望も泡となり、致命的とも感じられる崩壊を体験し、その傷がいまだに癒えない。再度引き離されて、その場にしゃがみ込んだままである。気がつけば周りには日本を包囲する発展国。最近徐々に立ち上がる気力・体力がついてきたようだが、若かった日本も今や中年を迎えている。次に来る大きな問題は少子化という体力の減少である。
[自我も社会に追いつけ・追い越せで進む]
◎日本国と同様、自我も社会に追いつけ・追い越せで進む。追いついた時点で、防衛機制を脱ぎ捨て、規制を外さなければならない。社会に追いつくまで防衛機制は自我を守る鎧の役目を果たすが、追い越した時点から自我をしばる鎖、閉じ込める牢獄と化す。
[肩を並べた時点で必要なことは自身を縛る鎖からの開放]
◎成長途上には大いに役に立った防衛機制が、今や日本の成長をはばむ大きな障害となり、その鎖に絡まれて身動き取れず、上昇をはばむ重石と化している。自我も国も脱皮せねばならない、更なる進歩のために。
[現状の環境への適応からより大きな環境へ適応するように自己改造を求む]
◎個人も国も社会・環境に適応する段階から抜け出して、進化がするように、新しいより大きな社会・環境に適応するように自分自身の改造を計らねばならない。日本も国内充実から国際外交重視へ視野の拡大が必要な時期に来ている。ヨーロッパの多くの国々は、余りにもがっちりした堅固な制度を持つので、そこから抜け出せないで現状維持に甘んじていた。
[現状維持に甘んじていたヨーロッパ諸国は新しい大きな制度を建設し始める]
◎しかしそのことに気づいたヨーロッパがその制度(互いを隔てる高い壁)をぶち壊して新しい大きな制度を建設し始めている。それは1992年2月7日に調印されたヨーロッパ連合条約によって誕生した欧州連合(EU)である。それに成功すれば、ヨーロッパは巨大勢力として復活する可能性もある。冷凍された巨大マンモスの蘇生はあり得るのだろうか。