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第八章 集団(全体・自己)と個人(部分・自我) [55]西洋美術における自我の確立と解体

[55]西洋美術における自我の確立と解体
[西洋絵画は、線が一点に集中・収束する透視図法(線遠近法)を採用した]
◎西洋絵画は、観察者に近い部分ほど大きく、遠いほど小さく表わされ、目(自我・固定的視点)で見たのと同じような遠近感・立体感・距離感を表現し、線が一点に集中・収束する。その様式は透視図法(線遠近法)と呼ばれ、ルネサンス時代に完成した。
[西洋絵画における自我の解体]
◎西洋絵画の歴史的な流れを概観する、特に絵画における(ルネサンス時代に完成した)自我の解体と、具象画から抽象画への移り変わりを。
[そのままに写し取った具象画と部分を再構成(再結合)した抽象画]
◎具象画は、全体の一部分を、そのままに写し取った絵である。抽象画は、全体を部分に分解(脱構築)し、その部分(要素)を再構成(再結合)した絵、あるいは要素・部分を使って(心の内部を)表現した絵である。
[脳内では具象画→抽象画→具象画へと進む]
◎網膜に写し取られた映像(具体像)は脳内一次視覚野へそのまま投影される。その映像は次に要素・属性に分解され、過去の情報と照らし合わされた後、それらを順次再統合する。つまり脳内で映像は具象画(感性・右脳)→抽象画(知性・左脳)→具象画(理性・直観・両脳)へと進む。
[右脳(具象画)から左脳(抽象画)への優位性の移行]
◎近代美術としての抽象画は20世紀に入ってから、特にキュービズム(立体派)の発生とともに世界中に波及し、第二次大戦後世界的に絵画の主導権を握った。これは右脳(具象画)から左脳(抽象画)への優位性の移行である。
[固定した視点の遠近法から視点の自由な移動へと変遷した]
◎スペインの画家ピカソ(1881-1973)やフランスの画家ブラック(1882-1963)によって始められた立体派は視点を変え多角的に観察し、特徴的な部分を平面上に結合して表現する。その結果、固定した一視点からの遠近法は放棄され、見る視点・方向の自由な移動が重要視された。
[美術における自我の解体]
◎これは美術・芸術における自我の解体である。抽象画が受け入れられるのは、創作者の側だけではなく、鑑賞者の方にも自我の解体が進行しつつあるからだろう。内(動機)と外(刺激)との呼応(循環)がなければなしえない。