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このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第八章 集団(全体・自己)と個人(部分・自我) [60]如何なるか是れ父母未生以前の本来の面目

[60]如何なるか是れ父母未生以前の本来の面目
[公案は日常的思考を超えた世界に修行者を導く]
◎「如何なるか是れ父母未生以前の本来の面目」は、禅宗で出される有名な公案である。公案は主に臨済宗で用いられ、修行者が研究・工夫する課題である。それを考える(頭[左脳]で考えて答えは導き出せない)ことが日常的・合理的思考を超えた世界に修行者を導き入れる。
[最上階層は不二一如、絶対無(空)、完全統合]
◎トーナメント形式の最上階層は(一卵性双生児のような)不二一如、無分別、絶対無、空、完全統合である。「父母未生」は、父と母が生まれる以前、父と母、善と悪、好きと嫌いなどの分裂・分別が生まれるのは自我(最上階より一つ下の層)だから、主観(自我)と客観(自己)とに分かれる以前の「本来の面目」(最上階層・真実の自己)が「父母未生以前の本来の面目」である。
[分別(自我)さえ捨てれば人は本来の面目に返り咲く]
◎最上階層(自他不二の絶対的全体性)より下位層は次第に分裂が加えられて細分化される。分別(自我)さえ捨てれば人は本来の面目に返り咲く。とはいえ、死ぬ怖さの克服と断崖から飛び降りる勇気を要求するが。タバコをポイ捨てするほどの気持ちでは太刀打ちできない。自我の死を恐れる者は自我の拡大を目指す。
[すべてを包括する直観が下位の機能すべてを正しく働かせる・把握する]
◎直観・叡智・智慧・般若は、絶対無や真理(人間界の真理ではない)を捉える最高の認識能力で、すべてを包括する叡智が下位の機能をすべて正しく働かせる。無分別智(直観)は、記憶を働かせず推理・判断・反省(自我機能)をせずに現前に現れるままの具体的全体的覚知、主観と客観とが分かれる以前の(主客の分別を離れた)智で、最終的には自己は空性なのだと自覚する。
[思考停止する止と叡智の働きによって対象を観察する観]
◎止観は、天台宗の根本的修行(瞑想)法で、「止」は、感覚を抑え、一切の妄念雑念を捨てる(思考停止する)。「観」は、単なる観ではなくて止の上に立って、注意力を集中して、精神を統一して叡智(直観)の働きによって対象を観察する。
[感覚的に物事を瞬時に感じとる直感と無意識による全体把握である直観]
◎直感は、推理・考察(合理機能・知性)などによらず,感覚的に物事を瞬時に感じ取る。直観は感覚・感情・知性が消えた上での固有意識による全体把握である。直観を得る(受ける)には意識を消滅・停止させて待つ。坐禅で観・覚だけを機能させ、それ以外の機能(特に感情・知性)を停止させると、無意識が十全に働き出す。