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第九章 能動・意志の意識と受動・本能・自動の無意識 [66]上位階層(意識)の機能が停止する睡眠・催眠・麻酔・夢遊病・深酒・夢

[66]上位階層(意識)の機能が停止する睡眠・催眠・麻酔・夢遊病・深酒・夢
[眠ると、心と身の機能にさまざまな変化が起こる]
◎眠ると、心身機能にさまざまな変化が発生する。例えば、意識がなくなる、反射機能が低下する、感覚が消え失せる、筋肉がゆるむ、脈拍・呼吸が減速する、代謝機能が弱まる。その眠りにはレム睡眠とノンレム睡眠とがある。
[大脳新皮質は情報処理するが、外界からの感覚情報は遮断され夢を見るレム睡眠]
◎レム(逆説・パラ・賦活)睡眠は、体は眠りに入り込むが脳(波)は目覚めを示す。身体の筋肉は弛緩(体性神経系・自律神経系は機能低下)し、脊髄運動機能(反射運動)は抑制される。所が、速い眼球運動を伴い、大脳新皮質は情報処理するが、外界からの感覚情報は遮断され、夢を見ていることが多い。
[ノンレム睡眠は、視床が主導権を握る大脳新皮質の眠り]
◎それに対して、ノンレム(徐波)睡眠は、視床が主導権を取る大脳新皮質の眠りである。視床が同期波を発信して脳波の同期化が発生し、大脳新皮質の門(情報通路)を閉じ機能停止させる。覚醒時よりももっと空間的時間的に幅広く大脳新皮質を低振動パターンに同期させることで制御する。この広がった同期化は神経回路網内のシナプスの組合せを再編成するのに役立つ。
[視床大脳新皮質に向かう情報通路の主要関門]
視床(間脳に属す)は大脳新皮質に向かう情報通路の主要関門で、睡眠中に到着する情報が抑制阻止される最初の場所である。視床は外部世界からの情報に門戸開放する覚醒から睡眠中の鎖国へと切り替える。
[昏睡は最高度の持続的意識低下]
◎昏睡は、最高度の持続的意識低下で、いかに強い刺激を与えても、精神的反応が全く返って来ない。昏睡の患者が段階的に回復する場合、前頭連合野が働かない自動症が先ず出現し、次に子どもっぽい随意運動や言葉・感情が出て、さらに進めば合理的になってゆく。これは退行(子ども返り)からの回復と同じである。睡眠は子宮(子どもの都)への里帰りである。
[意識視野が狭まり受動的注意集中がみられる催眠]
◎催眠は、意識の喪失する睡眠とは異なり、意識視野が狭まり(意識[覚醒]水準の低下)、自発性がなくなり、自発的な発言も消失する。ただ術者からの命令・暗示だけを受け入れる、(意志の喪失ともいえる)受動的注意集中がみられる。
[注意集中は他の情報が大脳新皮質に上らないように途中で抑制停止をかける]
◎脳が一つの刺激情報に強く反応する注意集中は、外制止によって他の脳活動を低下させる。その時大脳新皮質からの信号に応答して脳幹網様体から下位レベルの脳に抑制信号が送られ、他の情報が大脳皮質に上らないように途中で抑制停止がかかる。
[催眠(術)は、被験者の意志放棄によって、術者が被験者を意のままに操る]
◎催眠(術)は、受ける者の意志放棄によって、ほどこす者がその人を意のままに操る、操り人形を操る如く。これは拠点「城」(意志)の一時的な乗っ取りであり、主人公の交代であり、城主を人質にとって家来を自在に操る。
[イヌは主人(上位者)に対して意志を放棄する]
◎イヌは主人の命令に従う・服従する。とはいえ、子犬の時期にしつけをしなかったために、イヌが主人で人間が家来の地位にけ落とされ、イヌが我が物顔で家を仕切る光景もある。
[けんかはいしのぶつけ合い]
◎イヌは集団外の他人や自分より地位の低いものに服従しない。主人(上位者)に対してだけ意志(自分の我)を放棄する。私はけんかをたくさん見てきたがたいてい石(意志)のぶつけ合いである。石(意志)のないところにけんかはない。
[意識があるにもかかわらず随意運動が停止する催眠にかかる動物たち]
◎動物も催眠にかかる。意識(受動意識だけ残るのか)があるにもかかわらず随意運動が停止する、タヌキ寝入りのように。この現象は節足動物から哺乳類に至るまで広範囲の動物に見られるけれども、これは単なる死んだ振りではないかとも考えられている。
[催眠によって階層を下ってゆく]
◎思い出せない記憶でも催眠は呼び出す。催眠中の出来事は逆に覚めた後では思い出せないことが多い。意識・意志は人間の最上階にあって、催眠によって階層を下ってゆく。低位階層(無意識領内)で見聞したことを最上階にまで持って上がることができない。
[催眠は本人の意志とは無関係の自動反応と同じ]
◎受術者に向かって覚醒後に手を三つ叩いたら「コケコッコー」と鳴くようにと催眠中に後催眠暗示する。術後に手を三つ叩くと、受術者は「コケコッコー」と鳴くが、なぜそんな鳴き声をあげたのかと聞くと、催眠中占拠され機能停止して事情を知らない左脳(能動性言語機能)は広報担当者としての責任上適当な言い訳を作って説明する。催眠は、電気刺激を与えられた前頭葉内運動野が行う本人の意志とは無関係の自動反応と同じである。
[麻酔剤は言語半球(左脳)の意識を喪失させる]
◎麻酔剤は感覚麻痺、意識消失、自発運動・反射の制止をもたらす。その麻酔剤を言語半球側(たいていの場合左脳)にかなりゆっくりと頸動脈内に注入すると、意識消失をきたす。反対半球(右脳)への注入では、あったとしても少しの間、意識が不明瞭になるだけである。
[睡眠中の行動を目が覚めてから全く思い出せない夢遊病]
夢遊病は睡眠中に簡単な動作、かなりまとまった行動、例えば、急に起きて家の中を歩いたり、時には話したりしたあと寝床に入って再び寝入る。本人は翌朝目が覚めてからその事実を聞かされても全く思い出せない。
[記憶を喪失させる深酒]
◎「深酒をして、昨夜の出来事は記憶にない」と酒豪の面々からよく聞かされる。「きちんと家に帰り着き、習慣の歯磨きまでして床に就いたよ」と彼らは家人から聞かされるのも常のことである。
[自我よりも下位に自律的な運動指令システムを持つ]
◎これは自我が関与しないでもある程度の行動がとれる、自我よりも下位に自律的な運動指令システムを持つことを表す。それは習慣的行為を時と場所をわきまえて実行できるほどに知能的である。
[自宅までお持ち帰りのできない夢での経験]
◎夢・催眠・泥酔・夢遊の中でさまざまなことを行っても、覚めるとその時の記憶は薄れて完全に忘れ去る。それはその場(無意識内)で食べられる(経験できる)が(意識まで)お持ち帰りのできないレストランである。意識にまで持ち帰らなければ、意識の血と肉にはなり得ない。意識は無意識とは分離したままで、時々無意識の訪問を受ける。我々は意識が主人公なのだから。
[夢は非論理的で時間・空間的制約を受けない自我より下位にある心の出来事]
◎夢は論理に縛られず時間・空間的枠組みにも無頓着である。フロイトは、夢を無意識界へ抑圧された願望・欲求・本能が意識に現われたものとした。ユングは夢を意識的態度の片寄りを是正する補償機能(右脳から左脳への情報発信・本音のささやき)と将来に対する潜在的だが手の届く範囲内にある可能性の開示ととらえた。共に正当であろう。
[心に思い浮かぶ事柄を意識的選択なしに言い表すことでコンプレックスを発見]
自由連想法は、自然発生的に心に思い浮かぶ事柄を意識的選択(分別)なしにすべて言葉で言い表す。意志による選択を止める、前頭連合野の意識的抑制を外す、無意識的防衛・抑圧を弱めたり取り除いたりして、心に潜むコンプレックスの発見を目指す。
◎瞑想は心に思い浮かぶすべての事柄を流れゆくままに捨て置き注意を向けない。もちろん意識を通過するので内容について理解・了解はできるだろう。