宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第十章 下降で増しゆく分解力と上昇で加速する統一力 [68]はぐくむ生の本能(エロス)と枯らす死の本能(タナトス)

[68]はぐくむ生の本能(エロス)と枯らす死の本能(タナトス)
[分解細分化した局所的変化(微分)と結合させつないだ大局的変化(積分)]
◎数学に「微分」と「積分」がある。微分は極限までの分解細分化・大根の千枚切りであり、その各点の局所的変化をとらえる。積分微分を結合させつないで大局的変化を見る。第一次視覚野で視覚情報はいったん微分され、その情報が視覚野を通過するにつれて積分(再構成)されてゆく。感覚情報は正(全体・積分)反(分解・微分)合(統合・再積分)の弁証法的展開をする。
[「生の本能」(エロス)は結合して成長へと向かう]
フロイトは「生の本能」(エロス)と「死の本能」(タナトス)という。彼は二元(項)対立的にものを見ていた。生の本能は愛・接触・結合・同化・親密・弛緩・喜び・笑い・甘さ・和解・開放・母親という形で、生命の統合やより大きな建設・統一・成長・発展へと向かう。
[死の本能」(タナトス)は分解して無機化へと向かう]
◎死の本能は、破壊・攻撃・分離・異化・独立・緊張・悲しみ・辛さ・抑圧・疎外・閉鎖・父親・憎しみという形で、自己破壊・他者攻撃を行い、最終的には無機的状態(死)へと向かう。この根拠を彼は、生物は無生物から生じるので、無生物の状態、すなわち死へと帰還する根本的傾向(エントロピー増大の原理)に見た。
[一方に傾きすぎて自力で復元できないと、障害が起きる]
◎両本能(生の本能と死の本能)は車の両輪のように矛盾的自己同一(中庸・中道)であるから、一方に傾きすぎて自力で復元できずに障害されると、(心理的・肉体的)病気・犯罪という形で現れる。
[融合は快い響き(協和音)になり、分離は不快な感じ(不協和音)を与える]
◎二つ以上の音を同時に鳴らしたとき、互いによく融合すれば快い響き(協和音)になり、融合しなければ不快な感じ(不協和音)を与える。融合しないことから来る不快感を、その原因者(実は自分もその一人なのだが)から来ると見て、彼(特に外向的な人は)に死の本能(衝動)を向けがちである。
[ユーモアは一段高い階層から眺める]
◎自分をも笑いの対象にするユーモアは弁証法的展開で、自分(正)と対象・相手(反)とを合して止揚する。うまく止揚できれば快い響きとなり、自分も相手もともに笑いに興じられる。ユーモアは、自分と対象・相手とを一段高い階層(客観的立場・止揚)から眺める。相手だけを笑いの対象にすると、互いに不協和音が鳴り響く。軽ければ「苦笑」ですむが、強いパンチを浴びせると「畜生!」と反撃を食らう。