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第十二章 階層構造を成す脳 [94]前頭連合野は最上階の集中情報管理センター

[94]前頭連合野は最上階の集中情報管理センター
[システムは最上階に全システム情報が集約される集中情報管理センターを持つ]
◎帝釈殿は一つを見れば映っている他のすべてが見えるように配置された真珠の網を持つ。人間では前頭連合野がその真珠の網である。複雑系システムは最上階にシステム全体の情報がトーナメント形式で集約される集中情報管理センターを持つ。実際の建物では破壊・使用利便性を考えて地下に設置されることも多い。単純(小規模)システムはリーグ形式的(分散型)情報処理機構を持つ。
[前頭葉の割合は進化するにつれて増大する]
◎大脳皮質全体に占める前頭葉の割合は、ウサギでは二%、ネコでは三%、イヌでは七%、チンパンジーでは十七%、人間では三十%である。人では前頭葉内にある前頭連合野(最高司令本部)は大脳新皮質全体の3割を占める。
[意志による行動制御を行う]
前頭葉は運動制御(運動野)・言語発信・思考、つまり意志による行動制御を行う。目標に向けて計画を立て、行動の進め方を組織(プログラム)化する。積極性・自発性・創造性・感情抑制・(応用)問題解決行動・計画性・適応的行動選択が前頭葉から生まれる。高次の精神活動を行うが、はたまた後天的に身につけた人間独特の行動(残酷・奉仕・戦争・自殺など)の統合中枢でもある。
[前頭連合野は状況を把握・判断を行い、変化に即応し、適応にかかわる]
◎知能検査は前頭連合野の能力を測定できなし、その課題はその能力を高めない。前頭葉を切除された患者の術前後の知能検査結果に余り差が出なかったところを見ると。前頭連合野は、広く情報を集めて判断する拡散的思考をし、全体状況をうまく把握して適切な判断を行い、状況変化に即応し、新しい場面への適応に取り組む。
[前頭連合野内作業記憶は現在進行中の認知活動に必要な情報の処理機構]
◎前頭連合野に存在する作業記憶(短期記憶・ワーキングメモリー)は、現在進行中の認知活動に必要な情報の一時貯蔵機能と貯蔵情報を選択・操作・処理・提供する情報処理機構で構成される。
[連合野は、感覚情報を組み立て蓄える知覚・認識・記憶センター]
連合野は、第一感覚野からの情報を組み立てたり、蓄えたりする知覚・認識・記憶センターである。前頭連合野(ホストコンピューター)は、連合野中の連合野(最上階層)で、大脳新皮質後半部(側頭葉・頭頂葉後頭葉)に蓄えられた知識を操作・加工・変形する。またさまざまな感覚情報がそれぞれの中枢を経由して最終的に前頭連合野に収束・集約・編成され体系化・組織化される。
[前頭連合野は知識・情報の類別化・分類をする]
◎宇宙には自己組織化力があり、情報の自己組織化、昼間経験した事柄を貯蔵記憶体系に付け加えて統合する働きはレム睡眠中に前頭葉が行う。つまり前頭連合野は知識・情報の類別化・分類をする。言語を介しての抽象的思考、高度の抽象能力と普遍化の座といえる。
[前頭連合野は内外の全的情報を受け取る]
◎前頭連合野は個人の周囲を取り巻く外界の状況はもとより、生理機能制御部位(間脳など)から上がる情報を受け取って自分自身の状態・状況や、自分の情動・欲求、さらには脳全体の覚醒水準に至るまでの全的情報を受け取る。
[前頭連合野は受容した感覚情報を脳内に再現し重要度に従って優先順位をつける]
◎受信受容した情報を脳内に再現し、それに基づいて行動戦略を形成する。いくつかの事柄の間で、予測・期待・目標に基づいて重要度に従って優先順位をつける。これが明確にできないと葛藤に陥る。
[テレビゲームは反射能力だけを鍛える]
◎テレビ視聴中・テレビゲーム中、前頭葉は不活発でアルファ波(待機中)が増大する。それに対して、読書時は前頭葉に活動中を示すベータ波が増える。単に受動的にテレビ視聴するだけならば、脳の後方領域だけが活性化される。前頭葉が行う意識的思考・判断ではゲームに対応できないのでもっぱら(下位にある)反射能力だけが鍛えられる。
[前頭連合野は下位階層を制御抑制する]
◎前頭連合野はすべての下位階層(大脳辺縁系視床下部・脳幹など)を直接間接に制御する。大脳辺縁系(扁桃体・感情の座)が持つ感情機能は自分が生存し続けるために「快不快・楽しい悲しい」という分別的判断を示す。
[前頭連合野は本能・感情を統合して適応行動を判断する]
◎上位中枢としての前頭連合野は、原始的な情動反応や本能的行動・衝動的選択を統制抑制する理性の座で、本能・情動(感情)を統合・総合して個人的・社会的に適切な行動を判定する。集団・組織への定着は大脳辺縁系(扁桃体・感情の座)の自分優先的判断だけでは成功しないだろう。
[前頭連合野は感情におぼれずに筋道を立てて物事を考え判断する]
◎生活をしてゆくとき目前の不快(悲しみ・苦しみ)を我慢・超越して未来の楽しみを夢見る(期待する)。問題解決や崇高な目的のために、直接的・刹那的自己利益・安全に目をつむり犠牲にする。
[未来のために現在を耐えるには意志力が必要]
◎目の前にある非常に強力な魅力に打ち勝つためには、その時感情が指し示す快楽を抑える・耐える・乗り越える力、今この瞬間の快を取れという感情におぼれずに未来に続く筋道を立てて物事を考え判断する能力・意志力を必要とする。
[本能的行動の発動を抑制する能動性]
チンパンジーは、新しいエサ場を見つけると、定型的・本能的・生得的な呼び声を出して群・仲間に知らせる。所が、ある学者が観察中に、一匹のチンパンジーはバナナの木々を見つけたとき、口(本能)は定型的な呼び声を発しようとしたが、手(意志)は口を塞いで叫び声を抑えるある程度の能動(意志)性を持っていた。
[自然的行動を抑制する社会的知能]
◎また別の賢い成人チンパンジーは時に次のようなことをする。彼は餌を探する他のチンパンジーをだますために、自分が見つけた餌の方へ視線を向ける自然な本能的行動を抑制して、あえて他の方向へ注意を向け、相手を欺く社会的知能(本能の抑制・意志の発動)を示した。
[本能的行動の抑制者は前頭連合野(前頭眼窩)]
◎二匹のチンパンジーが見せた、本能的行動の抑制者は前頭連合野(前頭眼窩)である。それは注意を強く引きつける刺激に対する反射的反応を抑制する。
[前頭眼窩は無関係な刺激がある中で目指す刺激に注意を向け続ける]
◎さらにまた魅力を振りまくが目下無関係な食べ物がある中で目指す対象に注意を向け続ける能力と、本能側を引きつける刺激に打ち勝って意志側を魅惑する刺激に注目し続けるのも前頭眼窩(ガンカ)である。
[前頭眼窩は能動的注意を働かせ、本能は不随意的注意を操作する]
◎随意的眼球運動中枢が前頭眼窩にあり能動(意志)的注意を働かせる。本能は不随意的注意を操作し、餌を見れば即座にそこへ注意を向ける。これは私の少々もの悲しい過去を思い出させる。子ども(小学生)の頃、お客さんが来られ、注文した寿司を食べるのをじっと見続けて親に叱られ、はっと我に返った。その自分の姿が惨めに思えてうら悲しい記憶として残っている。私の前頭眼窩は私になかなか人徳を持たせてくれない。
[確立した習慣を打ち負かすのは前頭眼窩]
◎私の中にあってなかなか本能(食欲)に打ち勝ってくれない(いまだに連敗続きである)前頭眼窩は、下位階層の反応を抑制する機能を持ち、以前に確立された反応習慣に打ち勝ち、新しい反応習慣の確立を手助けする。
[前頭連合野の障害による諸症状]
◎前頭連合野の損傷・障害によって、時として無頓着・無感動・自発性の減退・意欲喪失・情操貧困が生じる。それ以外にも経験による学習の不能、洞察力の欠如、現在に執着、好奇心や欲求の低下が起こる。
[前頭連合野の障害によるプラス効果]
◎時には不安・取り越し苦労の解消というプラス効果もある。前頭葉障害者の中には恐怖・強い嫌悪を来すような場面に出会っても、心がかき乱されずに冷静でいられる。そんな場面でどんな感情がわき起こるかの知識を持つが、体感的感情は湧き上がって来ない。
[自我(前頭連合野)は現実(身体・感情・感覚情報)に根を下ろす]
◎体感的感情が湧き起こらないは心の死・心の硬直化・石化である。感情を感じる(受け取る)前頭連合野が麻痺すると心は死ぬ。意志が発動しない。ぼんやりした、夢の中にいるような意識になる。あるいは感情が働かないでただ頭だけが働く冷淡人間になる。
◎自我(前頭連合野)は現実(身体・感情・感覚情報などの下位機能)に根を下ろす。心の死はその現実から根こそぎになる、浮き草・根無し草のように。そうなると現実から養分・情報・エネルギーがもらえない。ガソリンが切れた車のように。
[自我は衝動エネルギーで走る車の運転手である]
◎自我は衝動エネルギー(エス)で走る車の(ハンドルとブレーキペダルを操作する)運転手である。衝動エネルギーはエンジンを動かすところまでが責任範囲で、どこへ向けて走るかは感情や知性が決定する。
[心の死者は本能エネルギーを爆発させて現実を感じる]
◎心の死んだ(トップダウン優先)者にとって現実を感じるため、踏み過ぎたブレーキを解放するためには、激しい破壊によって(ボトムアップする)衝動・本能エネルギーを爆発させ(身を任せ)ざるを得ない。地下のマグマを噴出させるように。
[知識は感情を伴わなければたやすく行動化できない]
◎知性(前頭連合野)は感情を伴わなければたやすく行動化できない、三日坊主になる。心理学ではそれを「知性化」(自我の防衛機制)と呼ぶ。それは、知的な言葉を用いて説明・議論することで強い感情と対面することを避ける「感情の切り離し・分離」である。
◎しかし激しい感情が沸き上がると知性は吹っ飛ぶ。知性過多症者は時々強い刺激で頭(知性)を霧散させる。過多苦しい学者が時として破廉恥を働くのもむべなるかなである。
[前頭連合野が麻痺すると感情を出発点とする生き生きした行動ができない]
◎すべての行動ができないのではなく、知的(トップダウン型)作業は普通にできるが、感情(身体が発する欲求)を出発点とする生き生きした(ボトムアップ型)行動ができない。知性はエネルギーもエンジンも持ち合わせていない。感情は感動させる。

前頭前野の活性

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