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第十三章 階層構造的生成を見せる宇宙 [95]古代ギリシアと平安時代日本の相似点

第十三章 階層構造的生成を見せる宇宙
[95]古代ギリシア平安時代日本の相似点
[平安時代古代ギリシアとは相似点をいくつも持つ]
古代ギリシアソクラテスプラトンのような偉大な哲学者を数多く排出した原因・理由は、またその国が滅んだ理由は何だろうか。その理由を考えると、平安時代日本と古代ギリシアとは文化の担い手に関して相似点をいくつも持つように思える。
[貴族は実質的統率力・支配権を持たない高等遊民]
◎日本では貴族は、平安時代に成立し、中世(鎌倉・室町時代)に確立した。当初は土地・農民に対する実際の支配権を持っていたが、官僚化・ブルジョア化した宮廷貴族(実質的統率力・支配権を持たない高等遊民)となり官吏・軍人の供給源(エリート集団)となった。貴族や寺神社は私有地化した荘園からの収入によって優雅な生活を楽しんだ。
[貴族・高等遊民からすばらしい文学作品が生まれた]
◎貴族(高等遊民)からすばらしい文学作品が次々と生まれた。特に紫式部の「源氏物語」と清少納言の「枕草子」を代表とする女流文学を生み出し、歌集・日記がいくつも世に出た。しかし武士団の進出と商業の発展とによって彼らは衰退する。次の支配者武士階級は主に禅思想によって貴族化を免れた。といっても貴族が完全消滅したわけではないが。
[裕福な市民階層は知的活動に専念できた]
◎一方古代ギリシアは奴隷が生産力の担い手となる奴隷制階級社会で、奴隷が肉体的生産活動を担ったので、裕福な市民階層は知的活動に専念できた。一人の人間でいえば、大脳皮質(市民階層)と皮質下(奴隷)とに対応するだろうか。
[古代ギリシア都市国家は、自由・自治・自給自足を理想とする民主制共同体]
古代ギリシアは前八世紀ごろから、王政(統一の核)が衰退して貴族支配下で多数のポリス(都市国家)が分離分立した。それぞれの都市国家は、自由・自治・自給自足(自律)を理想とする共同体であった。
[ペルシア戦争に勝利したギリシアに民主制が発達]
◎前六世紀、経済的発展を成し遂げた中産市民による重装歩兵制が確立し、ペルシア戦争(前500〜前448年にわたるペルシア帝国とギリシア諸都市との戦争)でギリシア側が勝利し、民主制が発展した。とはいえ、民会に出席する成年男子以外の女性や在留外人には(もちろん奴隷にも)選挙権はなかった。
[余剰・自由が哲学(文化)をもたらす]
◎前5〜前4世紀は民主政治の最盛期で、哲学思想などの形成発展時期でもあり、文化的社会的に成熟時代である。余剰・自由(過剰エネルギー)が哲学(文学)をもたらす。余剰生産物が原始社会を文化文明社会に変貌させていったように。
[都市国家間での戦いが衰退をもたらす]
◎しかしながらギリシアでは都市国家間の戦いがお互いの消耗と衰退とをもたらし、前四世紀半ばついにマケドニアに併合され、歴史的表舞台から退場した。ライバルとしての競い合いから、力によるつぶし合いへと変化したことも退場の一因だろう。
[武士階級によって貴族は没落の日を迎える]
◎他方日本では武士団を統帥する藤原家が実権を握って貴族(公家)は没落し、室町時代(1333年鎌倉幕府滅亡から1573年室町幕府の崩壊)には単に形式的名目的高貴な地位を保持していたにすぎない。