宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第十三章 階層構造的生成を見せる宇宙 [97]進化する宇宙は混沌の海から統一力によって原子と星とを生成する工場

[97]進化する宇宙は混沌の海から統一力によって原子と星とを生成する工場
[宇宙は百数十億年前に誕生し進化(原子と星の生成)が始まる]
◎哲学者による思想的宇宙論から、現代科学による物質的宇宙に目を転じる。宇宙は百数十億年前に誕生しその時から宇宙進化(原子と星の生成)が始まった。無秩序(無)から秩序化(有)へ相転移する臨界点(特異点)が宇宙膨張の開始点である。合理的眼は秩序化したものしか見えない。その前に存在があったとしても。
[誕生宇宙はバラバラに分裂したクォークの海]
◎生まれたばかりのほかほかの宇宙は温度が極端に高い(数兆度)ので、素粒子などは激しく運動し衝突する。そのため互いに全く結合できずに完全にバラバラで最小単位(?)のクォークにまで分裂・分離している。とはいえ、クォークは単独での存在は確認されていないが。
[クォーク三個が結合→陽子と中性子が結合して原子核を形成]
◎温度が約1兆度にまで降下した時に、クォーク三個が結合して陽子と中性子が作られ、宇宙は主に陽子・電子・中性子からなる熱いプラズマ(自由運動)状態になる。宇宙が膨張するにつれて、温度と密度はさらに下がり、10億度になると、核融合が起こり陽子と中性子が結合して、原子核ができあがる。
[(陽子+中性子=)原子核と電子とが結合して原子を形成]
◎宇宙温度がさらに3千度以下になると、電子(素粒子の一つ)と原子核が結合して水素原子を形成しさらに重水素(水素三兄弟[同位体]の一つ)やヘリウム(原子番号二番)、リチウム(三番)などができる。
[結合力は電磁気力と核力]
原子核と電子を結合させて原子を、さらにその原子同士を結合させて分子を作り出す力は電磁気力である。それより上位階層の陽子と中性子とを結合させて原子核を作る力を核力と呼ぶ。核力は、短距離では強い力(短距離ランナー)であるが、ある距離以上離れると急激に弱くなり0に近づく。
[膨張が止まれば時間が止まる]
◎宇宙が数十億年の時間を持つためには、数十億光年の空間的広がりが必要である。時間の経過=宇宙の膨張(空間の拡大)である。この膨張が止まれば時間が止まり、もし宇宙が膨張から反転して収縮へと向かうと時間の逆回転が起こる。宇宙にある統一力も反転して分解力として働き、すべては混沌(無)へ帰ってゆく。
[環境の温度変化につれて階層構造的結合が生まれる]
◎宇宙では階層構造的結合[クォークだけ→クォークどうしが結合して中性子・陽子ができる→中性子・陽子が結合して原子核ができる→原子核が電子を捕まえて水素原子ができる→原子核同士が結合してヘリウム・リチウムができる]が繰り返される。このような原子生成能力は環境の温度変化につれて変わってゆく、環境が生物を創造したように。
[宇宙法則は、基礎を確立して積み上げる、基礎要素を作り上げて組み合わせる]
原子番号1の水素(陽子1個と電子1個とで構成される)が原子の内で最も低い温度で生成される。宇宙法則は、基礎を確立してその上に積み上げてゆく、いくつかの基礎要素・成分を作り上げてそれを組み合わせて多様性を生み出す。
[各原子は結合力が分離力を上回る特定の臨界温度(相転移温度)を持つ]
素粒子が結合するか分離するかは環境温度に左右される。基本は結合力であるが、温度が高ければ高いほど活発に活動(分離)する。温度が高すぎれば、宇宙創生期のように、活動力(分離力の源)が結合力を上回る。それぞれの原子は結合力が分離力(活動力)を上回る特定の臨界温度(相転移温度)を持つ。
[結合された原子は温度が下がっても内部の結合力が強いので分裂しない]
◎原子は結合の臨界温度より上回り過ぎても逆に分離力(活動力)が勝って結合できない。しかしいったん結合された原子は温度が下がっても内部の結合力(核力)が強いので分裂しない。核融合・分裂は日常温度では起こらない、万・億度の世界である。とはいえ、日本ではすでに原子力が日々の動力源として広く利用されているが。