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第十五章 絶対無を目指す宗教 [108]動物からの超出を可能にした前頭葉(特に前頭連合野)

[108]動物からの超出を可能にした前頭葉(特に前頭連合野)
[仏教とキリスト教十戒]
◎仏教の十戒は、僧侶・在家信者が守るべき戒で殺生・偸盗・邪淫・妄語・両舌・悪口・綺語・貪欲・瞋恚・邪見の十悪を避ける。ユダヤキリスト教での十戒は、旧約聖書出エジプト記にある、モーセを通じてシナイ山で神からイスラエル民族が受けた十か条の戒めである。唯一真正の神(ヤハウェ・エホバ)に対する礼拝・偶像の禁止・神名乱唱の禁止・安息日の厳守・父母への敬愛・殺人の禁止・姦淫の禁止・盗みの禁止・偽証の禁止・他人の妻・財産に対する欲念の禁止をいう。
[自然の法則に従った生き方は悪事ではない]
◎猫がネズミを捕って食べる動物の世界は悪事(殺生・盗み)を働いたとはいわない。最近の猫はお上品だからネズミなどは召し上がらないし、私よりもうまいものを食っている奴もあまたいる。
◎動物のそのような行為をなぜ悪事とはいわないのだろうか。動物はこれ以外の生き方(分別・選択)ができないからで、殺生・盗みをしてもそれらは自然の法則に従った生き方だから悪事とはいえない。
[人間は十戒、自ら作り出した独自の法則に従って生きて行く]
◎所が、人間は動物世界から超え出た段階、キツネのようにネズミやウサギを捕って食べる自然法則に縛られた生き方から脱した時点で、神から特別に与えられた十戒に従い、その後人間として自ら作り出した独自の法則に従って生きて行く存在となった。
[前頭葉の時代に入った]
◎このようにして人は自然法則の上に人間規則を積み重ねた。唯一(の生き方)から分別(考えて選ぶ)へと、一から二へと階層が上がった。これは人間が時にチンパンジーもすなる前頭葉(優位)の時代に入ったことを意味する。この自然法則から人間法則に切り替わった時点で、宗教が誕生したといえる。