宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第十五章 絶対無を目指す宗教 [111]神・自然・太虚から万物が発現発展しまたそこへと回帰する

[111]神・自然・太虚から万物が発現発展しまたそこへと回帰する
[神は普遍的に内在し、万物の全体が神で、神と世界とは本質的に同一]
バラモン教の梵我一如、仏教の悉有仏性、プロティノスなどの新プラトン主義、神秘主義(瞑想で自己の内面の最奥に降下することによって絶対者と合一する神秘的合一)、宇宙霊を認めるブルーノ、スピノザの汎神論的一元論、ストア哲学などの汎神論はいう。
◎神は超越的な(外側に飛び出した)存在ではなく、普遍的に内在する(神が宿る)、万物の全体が神である、神と世界とは本質的に同一である。
[世界は世界理性・宇宙秩序によって目的・目標にそって支配される]
1)紀元前3世紀初頭にゼノンが始めたギリシア哲学のストア学派は説く。世界は物質と物質に内在し秩序を与える普遍的ロゴス(世界理性・宇宙秩序)とで成り立ち、それが持つ目的・目標にそって支配される。物質を肉体と、ロゴスを霊と置き換えると宗教になる。
◎人の歩むべき道は、欲望・感情に心を乱されない泰然自若の不動心を身につけてロゴスを理性(直観)的に受容し自覚して、理性(世界秩序)に従う生活を送る。
[自然の秩序を直観理解し、感情を統御することで至福(最高善)が得られる]
2)ユダヤ教の影響から脱し、デカルト哲学の強い影響を受けたスピノザは、無限数の属性から成り立つ唯一の実体(=神=自然)が世界の根源だとする。自然の秩序(ロゴス)を直観認識(知的悟りを)し、感情を統御する(超える)ことで精神は自由(自律)を得て至福(最高善・身体的悟り)に到達すると主張する。
[万物はこの神から出て、私たちはこの神に帰って行く]
3)キリスト教伝道者パウロは、パリサイ派ユダヤ教徒としてキリスト教徒を迫害するが激烈な回心体験をする。作用が大きければそれだけ反作用も大きい。悪人正機の典型例のような人である。もちろん彼は悪人ではないが、キリスト教徒の迫害者からキリスト教伝道へと激烈転換をした。
◎その彼はいう、「私たちにとっては、唯一の神、父である神がおられ、万物はこの神から出て、私たちはこの神に帰って行く」と。
[太虚が凝集して宇宙万物となり、その万物は分解して太虚へと帰る]
4)中国北宋の哲学者張(載)横渠(1020-1077)はいう。宇宙空間に充満する気の本体である(万物の根源)太虚が凝集して万物となり、その万物は分解・拡散・消滅して太虚へと帰る。気が集まるとはっきり見えるようになって形が現れる。散ってしまうと、見えなくなり、形もなくなる、雲がそうであるように。
[一(太極)→二(両儀)→四(四象)→八(八卦)へとトーナメント形式で分化する]
5)易(占い)の教科書「易経」はいう、「易に太極あり、太極(=太虚=原初の混沌の気)は両儀を生じ、両儀四象を生じ、四象八卦を生ず」と。なお、「易経」は、陰と陽を六つずつ組み合わせた64卦によって自然と人生との変化の法則を説く。
◎太極は、一(太極)→二(両儀)→四(四象)→八(八卦)へとトーナメント形式で分化する。最終的には64種類に分裂する。
[神から万物が流出する]
6)ローマ人で新プラトン主義の開祖的ギリシア哲学者プロティノス(204頃〜270頃)はいう。神は一切(多)を超越(最上階層)する無規定・無形相な絶対者、最高完全の善、本源たる一者である。その神から万物が発現・流出・発展する。
[人の精神は神と同じ性質を持つから脱我によって神と合一に至る]
◎人の精神は神と同じ性質(本質)を持つ(分有する)から、自分の精神を内観することによって、一者から下降・流出(トップダウン的階層形成)した秩序を逆に(ボトムアップ的階層上昇)さかのぼり、さらに脱我(自我の超越・悟り)によって万物の創造原理・本源である神に触れる、合一に至る。
[流出は叡智→霊魂→物質の階層構造を成す]
◎発現・流出は階層構造をなし、最上階層に一者が存在し、その次に精神・叡智(イデア・宇宙秩序を認識する直観能力・宇宙に遍在する霊)→霊魂(中位・感覚機能・心身両面に作用する心)→物質(下位・特殊・肉体)へと下降する。
[絶対者が自分を自己限定・分解して多様性のある自然(部分・要素)となった]
◎それを弁証法的に説明する。すべてを持つ絶対者(相対的な存在を根拠づける最高の存在)が自分をトーナメント形式で自己限定・分解・否定・外化・トップダウン・展開して多様性のある自然(部分・要素)となり、その上でその否定・外化を再否定・内化・巻き取りして再度自分自身(全体)に還帰(ボトムアップ)するという自己展開をする。
[階層構造を昇るごとに潜在的可能性が花開く]
◎階層構造の最下位層にもすべてが(潜在的に)内在するが、創発は階層構造の階段を登るごとに今まで潜在的可能性であったものが顕在化する。生命も同じように潜在的可能性が花開いてゆく展開をするが、これを私たちは進化・成長と呼び、欠如の回復、不完全の完全化、神への帰還ともいえる。

聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅

聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅

  • T.クリシュナマチャリアの子供たち
Amazon