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第十八章 精神・魂に語りかける民話・昔話 [137]従順を捨て禁止・約束を破る浦島太郎、鶴女房の夫、アダムとイブ

[137]従順を捨て禁止・約束を破る浦島太郎、鶴女房の夫、アダムとイブ
[生き物への思いやりが竜宮城に導く]
◎浦島太郎は助けた亀に海中の竜宮城へ連れられて行った。私のお袋も天王寺さん(四天王寺)やさまざまな寺院で亀にエサをやり、ドジョウを水路に放し、ヘビに卵を供えたが、彼らからはついに誘いの声がかからなかった。乙姫さんは男にしか声をかけないのだろうか。もしそうならば、私も挑戦してみる価値はありそうである。
[禁止を破って開けた玉手箱から出た煙で浦島太郎は白髪の老人になった]
◎お袋には縁のなかった竜宮城で乙姫さんに歓待され三年もの年月を過ごした(が自身は三日間だと思っている)浦島太郎は玉手箱をもらって故郷に帰る。乙姫さんから「開けてはいけない」と言われた土産の玉手箱をあけると白煙が立ち昇り太郎は白髪の老人になった。
[竜宮城は桃源郷]
◎インドでも中国でも日本でも語られる竜宮城は、竜神のすみかで、美女と歓楽と不老と珍しい宝物や珍しい食べ物がある宮殿である。まるでカジノのような所である。そこには不老はないが不労ならしこたまある。
[玉手箱を開けて次元(時間空間)の違う自我世界へと連れ戻された]
◎浦島は竜宮城という自己世界(異時間異空間)をのぞいた。開けてはいけない玉手箱を開けて次元(時間空間)の違う自我世界へと連れ戻された。玉手箱の中には自我世界で過ぎ去った太郎の時間が詰まっていたのだろう。
[禁止を破って元の木阿弥に返る]
◎開けてはいけない、見てはいけない禁止を破って元の木阿弥に返る話が多い。アリババのように、盗賊たちの宝を隠した秘密の洞窟を「開けゴマ」と呪文を唱えてみごとに開け大儲けをした者もいるが。
[アダムとイブは神の禁止を破って楽園の木の実を食べ追放された]
旧約聖書の中では、神に背いて堕落した天使(ルシフェル)が神の愛を受けるアダムとイブに対する嫉妬心ゆえに彼らを誘惑する。彼らは蛇に言いくるめられて、「善悪の知識の木からは決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう」という神の禁止を破ってエデンの園にあるその木の実を食べ、楽園から追放された。
[自己から自我へと一つ階層を落ち堕落した]
◎彼らは(善悪などの分別をする自我・肉体の)目が開け、自分たちが裸だと知り、恥ずかしさを感じる。食べて死んだのはたぶん事故(自己)だったのだろう、自己(霊眼)から自我(肉眼)へと一つ階層を落ちた(堕落した)のだから。
[約束を破ってのぞき見られた鶴はその男から飛び去ってゆく]
◎「鶴女房」では、矢を受けて傷ついた鶴を助けた貧しい男の家へ美しい娘が来て妻になり、珍しい高価な織物を織る。男は妻と交わした「のぞかぬように」との約束を破ってのぞき見ると鶴が自分の羽を抜いて織っている。正体を見られた鶴はその男から飛び去ってゆく。
[自然法則に対して従順でなかったから、自己世界から自我世界へと引き戻された]
◎禁止・約束違反は、自然法則に反する自我的行為をしたことを象徴する。自然法則に対して従順でなかったから、自己世界(自己を象徴する相手との結婚・同居で表現)から自我世界へと引き戻された(追放・別離で表現)とこれらの物語は語る。
[自我を持つ者にとっては従順はとても難しい行い]
◎開けてはいけない、食べてはいけない、見てはいけないとの禁止内容はいとも簡単に破ってしまえる。従順(全幅の信)とはとても難しい行いである、エサを見ると顔を出すカメのような自我を持つ者にとっては。
[約束違反や物質への執着によって自己として暮らすことの挫折]
◎羽衣・鶴女房・竹取物語は、去り行く天女・鶴・かぐや姫側からの視点と去られる人間側からの視点とがある。去る側から見る物語は地上(楽園追放・自我)から楽園(自己)への帰還物語、仮の姿(肉体)から本来の姿(意識・精神・魂)への復帰である。
◎去られる側から見れば約束違反・不従順とか物質への執着とかによって自己として(自己といっしょに)暮らすことの挫折(楽園追放・自己から自我への墜落)話しである。禅では、自我から自己へと渡岸せよと呼びかける。