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第十八章 精神・魂に語りかける民話・昔話 [138]魂を象徴する天女・白鳥・かぐや姫は人間(肉体)を去ることで昇天する

[138]魂を象徴する天女・白鳥・かぐや姫は人間(肉体)を去ることで昇天する
[霊魂は空を飛ぶ]
ユングはいう。バビロニアでは、霊魂が行くよみの国(死後世界)では霊魂が羽衣を着る。古代エジプトでは、霊魂を鳥と見なす。古代ギリシアでは天まで飛行できる翼を持つ馬ペガサスが住む。
◎霊はどちらかといえば神の働きを示し、キリスト教ではそれを明示するために聖霊と呼ぶ。魂は個人内にあって肉体と精神とを仲介する心の働きをするものと見なされる。
[羽衣は天上を飛行する力を持つ]
◎羽衣伝説(天人女房)は語る。天女が地上で水浴び中に、木にかけておいた(天人が着る天上を飛行する力を持つ)羽衣を男に隠されてやむなく妻となる。やがて家の天井に隠されていた羽衣を取り返して天に昇る。
[衣を取り返し、元の姿に戻って飛び去る]
◎白鳥処女説話はいう。天上の少女が白鳥(ツル)になって(逆に白鳥が少女になって)地上に降り、水浴中に男に衣を奪われて妻にされる。やがて衣を取り返し、元の姿に戻って飛び去る。バレエ「白鳥の湖」はこの話を題材にする。羽衣伝説(天人女房)は白鳥処女説話と同じ源から流れ出ている。
[天が大地に降りて来るとき、人間はその手に触れることが出来る]
鈴木大拙はいう。「天が大地に降りて来るとき、人間はその手に触れることが出来る。天の暖かさを人間が知るのは事実その手に触れてからである」と。
◎白鳥が天女が地上に降り立って人間と交わる機会を与えたことが、人間の心の中に天へのあこがれを生じさせ、天とはどのようなものかについて直に知るチャンスとなった、白鳥には天女には申し訳ないことなのだけれども。
[現象界に落ちた魂は故郷のイデアを恋い慕う]
プラトンはいう、現象界(物質世界)に落ちた魂は故郷のイデア(理念)を恋い慕うと。人間は魂と身体とから成る。魂は感覚器官を通じて生成消滅の世界(物質世界)と関わる。魂がイデア界の智を獲得(直観)できるのは、魂を感覚器官と切り離して魂が魂自体だけになるときである。魂と身体が切り離されるのを自我は死と呼び、魂と身体との融合を生と呼ぶ。しかし魂自体は生きっぱなし(不生不滅)である。
[天女・鶴・かぐや姫は共に暮らした人間(肉体)から分かれることによって天に帰る]
◎魂は地上に落ちて肉体に入り、魂と肉体とは結合する、白鳥が天女が人間と結ばれたように。浄化は、魂の墓場(肉体・人間)から分離して純粋になってゆく。プラトン的にいえば、天女・鶴・かぐや姫は魂で、人間が肉体である。彼らはいったん一緒に暮らした人間(肉体)から分かれること(浄化)によって天に帰ってゆく。成仏・涅槃・悟りは肉体との分離であるが、肉体的死を必ずしも必要としない。肉体を持ったままの死を悟り(即身成仏)という。逆に肉体的死をこうむっても死なない者を幽霊と呼ぶ。