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第十八章 精神・魂に語りかける民話・昔話 [140]無心と不動心のこぶ取り爺さんは影(異界)と出会い和解・同化する

[140]無心と不動心のこぶ取り爺さんは影(異界)と出会い和解・同化する
[夢中で鬼と一緒に踊ったこぶ取り爺さん]
◎私のように腹に脂肪のある小太り爺さんではなく、頬にこぶのあるこぶ取り爺さんが洞穴で雨宿りをして鬼の酒盛りに出合う。お爺さんはおはやしの調子にのせられて何もかも忘れて夢中で鬼と一緒に踊った。その踊りがやけにうまいので喜んだ鬼に明日も来るようにとこぶを取られる。
[怖さに体が震えた隣の欲深爺さん]
◎次の日にその話を聞いたやはりこぶのある隣の欲深爺さんが洞穴へ行ってまねをするも、あまりの怖さに体が震えて踊りが見苦しいほどへたであった。それにイラだった鬼からこぶを二つにされて追い出される。
[異界の鬼と同化することで利益が得られる]
◎異界は、疎遠な不気味な世界で、そこには河童・天邪鬼などの亡霊・鬼などが住む。こぶ取り爺さんがしたように、異界の鬼(実は自分の影で意識から見ればかなり下位階層の機能)に対して恐れの感情を抱くこともなく、無心に同化(結合・取り入れ)することで利益が得られる。
[自分の中にある動物(的本能)が働くことを恐れる恐怖の感情]
◎しかし人(自我)は自分の中にある動物(的本能)が働き出すことを恐れる、特に知性・理性の勝った人は。それが美人の鶴でしかも高価な織物を織ってくれるならば話は別だが。動物を飼い慣らすことは人の努めである。
[同化(結合・取り入れ)できない異界の鬼が働き出すと災難を受ける]
◎異界の鬼が働き出すと、おそらく利益どころか災難を引き受ける。アメリカ映画は異界の鬼(エイリアン・サメ・キングコング・ジェラシックパークの恐竜・ヒッチコックの鳥など)と闘うテーマが多い。欧米では同化する(協同原理)よりも闘う(競争原理)ことを選ぶようだ。
[童話の世界は異界の鬼でにぎやか]
◎たまには「E.T.」のような取り上げ方もあるが、それとても仲良しになれたのは、子どもたちだけだった。大人は自我むき出しの態度を見せたのに対して。童話の世界は異界の鬼(クマ、キツネ、ライオンなどなど)と友だちになる筋書きが多い。子どもたちに童話の読み聞かせを心がけましょう。
[こぶを取るとはこぶ取り爺さんにとって悟りの証明書]
こぶ取り爺さんに話を戻す。こぶは取り去らねばならない自我を示す。私はスネに四つもこぶがある。四つともいまだにぶら下がっている。私も踊りの練習をした方がよいのだろうか。
◎こぶを取るとはこぶ取り爺さんにとって悟りの証明書である。そうなれば、その鬼はこぶ取り爺さんに悟りの認可を与えた禅の師家ともいえる。
[無心の行動は自然で滑らかな動きになるが、意識した行動は不自然でぎこちない]
◎恐怖を感じるもの(鬼)に対して、おじけづくこともなく、無心(無我夢中)で不動心で自然体で接するのは禅的には相当に修行が積まれている。無心の行動は自然で滑らかな動きになるが、意識した行動は不自然でぎこちない。
◎そのぎこちなさに対する評価として、欲深爺さんはほほにあったこぶに隣の爺さんのこぶまでつけられる。こんなこぶが増えてもよろこぶわけにはいくまい。

バカ昔ばなし

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  • (声)温水 洋一
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