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第十八章 精神・魂に語りかける民話・昔話 [141]いじめ・虐待から耐えて乗り越えるシンデレラに王子が来迎する

[141]いじめ・虐待から耐えて乗り越えるシンデレラに王子が来迎する
[妖精の助けで美しい衣服をつけて宮中の舞踏会に行き、王子に見初められる]
◎シンデレラは、継母・義理姉妹に虐待されるが、妖精の助けで美しい衣服とガラスの靴をつけて宮中の舞踏会に行き、王子に見初められて一緒に踊る。王子は、帰りぎわに慌てたためにガラスの靴を忘れたシンデレラを捜し出して結婚する。継母は実の我が子を妃にしようとして失敗する。
[いじめ・虐待・貧困・物質的欠乏に耐えて乗り越えると「妖精の助け」が得られる]
◎王子をシンデレラにとって「自己」と見れば、この物語はそれ(彼・自己)を見出すためのシンデレラの人生の旅と読める。「自己」を求める旅ではよくあることだが、いじめ・虐待・貧困・物質的欠乏・難題というハードルが待ちかまえている。それに耐えて乗り越えることで「妖精の助け」(他力)が得られるほど精神的成長をとげる。
[自力による成長をとげると、偉大な他力が働き始める・来迎する]
◎とはいえ、シンデレラはいまだ時間に縛られる(12時になると帰らなければならない)が、そこまで自力による精神的成長がとげられると、偉大な他力(王子・自己)が働き始める(迎えに来る・来迎する)。
[心が浄化した者だけが他力を受けられる]
◎義理姉妹のようにその他力・王子に見合う(ガラスの靴のサイズに合う)だけ心が成長・浄化(透明なガラスの靴によって象徴される)していない者はそれを受けられない。心が成長した分だけ他力は働く、作用をすれば反作用が返って来る。因果応報である。
[鉢は姫に苦しみを与えた]
◎日本版シンデレラ物語は「鉢かづき」である。母の死(依存が断ち切られ自律に向かう転機)に際し(自我を覆い隠す)鉢をかぶせられた姫が継母に虐待されて家出する(追い出される)が、結局山蔭三位中将の息子宰相殿に見初められ難題を乗り越えて結ばれる。
[鉢からの解放が幸福を授ける]
◎二人が結ばれる前に、宰相殿の母に反対され、両人とも家出をしようとしたとき姫の頭上の鉢が取れて、中から宝物がこぼれ出て、さらに姫がとても美人だと知れる。さらに才色兼備でもあり、そのことによって幸福を得る。
◎鉢(自我)は姫にさまざまな苦しみを与えたが、鉢が取れたこと(自我からの解放)によって自己が露わとなりそれが幸福をもたらした。
[いじめられる姉は山姥に宝物をもらう]
◎「米福粟福」もシンデレラ型の継子話である。姉の米福は継母にとって継子、妹の粟福は継母の実子。継母は継子米福に水くみ、糸紡ぎ、麦つきなどつらいきつい仕事ばかりをさせる。ある時姉(米福)は破れた袋をもたされてクリ拾いに行くが、山姥(山奥に住む老女の妖怪・妖精の怖い版)に宝物をもらう。日本では善と悪の見分けがつきにくい。自我を滅する努力をする者には他力(山姥)が働き始める。こぶとり爺さんの鬼のように、自我を滅する者には善を、自我むき出しの者には悪をもたらす。そういう意味では、西洋のトリックスターに似ている。
[長者に見染められる]
◎祭の日、母は妹(実子)をつれて見物に行き、残された姉は山姥にもらった宝の着物を着て外出し、長者に見染められる。母と妹はそれをうらやみ妹を臼にのせて嫁入りのまね(心のこもらない真似ごと)をするが、田に落ちて二人ともタニシ(心の成長度の比喩的表現)になる。
[型をなぞるだけの誠がこもらないシンデレラの義理の妹たち]
◎シンデレラの義理の妹たちや粟福(義理の妹)は形式・型をなぞるだけの実質・中身・真心・誠がこもらない態度がシンデレラ・米福との比較として示される。この心ある者となき者とを比較する昔話・民話は多い。誠(誠心誠意)の必要性を語りかける。
[肉体的・精神的苦しさに耐えることによって高い(上位)階層に昇る]
◎現状維持を阻止する肉体的・精神的苦しさに耐えることによって、(もちろんそれによってつぶれる者も多いが)高い(上位)階層に上がる、森のサルが平原のヒトになったように。
◎甘やかされた(肉体的・精神的に鍛えられていない)者は結局は苦しみを受けたり、失敗者に終わる、シンデレラの義理の妹たちや粟福(義理の妹)のように。苦難はそれを乗り越えた者を心の強い立派な人に育て上げる。それなのに子どもに成長をもたらす苦労をせっせせっせと摘み取る罪な親ばかも多い。
[才能・能力の秀でたもの、見劣りするものは排除されがち]
◎自分に合わないもの(不一致・差異)に出合うと、緊張・イライラ(一様化・同化への圧力)が生じる。不一致が自分の内部だろうと、自分の外部で起こることだろうと、この「一様化への圧力」が自分たちと違うものを排除する、差別する、いじめることとして現れる。才能・能力の秀でた者、見劣りする者は排除されがちである。
[抑制機能を持つ前頭連合野を育て上げることで差別・いじめを大幅に緩和できる]
◎この「一様化への圧力」は仕方ないとあきらめざるを得ないのだろうか。抑制機能を持つ前頭連合野を育て上げることで圧力を大幅に緩和できる。とはいっても、圧力自体がなくなるわけではない、矛盾的自己同一(一様化対多様化)なのだから。それによって起こる緊張に耐えられる、それらを抑える、それらをともに抱え込む能力がそこから大きく育つ。