宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第一章 トーナメント形式とシステム [1]宇宙が採用するトーナメント形式(階層的樹状構造)

第一章 トーナメント形式とシステム
[1]宇宙が採用するトーナメント形式(階層的樹状構造)。
[宇宙の話をしよう]
◎都会の空は晴れた夜でも星は数えるほどしか見えない。しかし宇宙には無限ともいえるほどの星が生まれ育ちやがて死んでゆく。そのような宇宙とその宇宙の中にある本当に小さな星、地球とそこに住む私たち人間の話をしてゆきたい。
[宇宙が展開する普遍方式]
◎宇宙は常に変化し続けている。その変化はでたらめなものではなく、ある方向性を持っている。宇宙の普遍的変化方向はトーナメント形式である。つまり、宇宙は一つのシステムで、そのシステムを維持・発展させる様式が高校野球で行う「トーナメント形式」である。もちろんリーグ形式も使われるが。
[すべてを支配する宇宙原理]
◎この宇宙と宇宙のすべてを支配する普遍方式(宇宙原理)についてこれから語ろう。過去の偉大な先人がこれをさまざまに表現してきた。言葉で、絵によって、態度で雄弁に語ってきた。また私たちが飼っているイヌやネコも言葉こそ発しないが、身をもって語っている、その宇宙原理を。それらに耳を澄ませば、さまざまな言葉が聞こえる。
◎では、出発しましょう、宇宙のすべてが語るその言葉を聞きに。
[すべての相手と対戦するリーグ形式]
◎試合をするとき、対戦相手の組み合わせ方に「リーグ形式」と「トーナメント形式」との二種類がある。リーグ形式はプロ野球が採用し、参加した競技者がすべての相手と対戦する総当たり戦である。
[二組ずつが競技するトーナメント形式]
◎トーナメント形式の方は春夏に甲子園で行われる高校野球が採用し、二組ずつが競技をして、その内勝者だけが上位進出する。そして最後まで勝ち残った競技者を優勝(勝利者)とする。
[要素を組み合わせて組織されるシステム]
◎宇宙はシステムだと述べたが、システムとはさまざまな要素が有機的に組み合わされたまとまりをもつ有形無形の体系・組織・制度である。その「要素」の「組合せ」方式に単層型(リーグ形式)と多層(重層)型(トーナメント形式)とがある。上で形式は2種類あるといったが、実の所、単層型(リーグ形式)は多層型の最下層を指す。
[リーグ形式は量的単層システム]
◎車両をいくつもつなぎ合わせた列車、直列式の5個の電池、このような線形(一本つなぎ)系などは量的単層(階層構造を持たないリーグ形式)システムである。このシステムで要素が単一であれば何度実施しても同じ結果が出る。
[トーナメント形式は質的多層システム]
◎単層システムと違ってトーナメント形式のシステムは二度と同じ結果が出ない質的多層(階層構造)である。高校野球で全く同じすべてのチームが再度試合しても同じ結果は出ないだろう。要素が多種多様で組合せが複雑なシステムではまず同じ結果は出ない、確率的にはあり得るだろうが。
[単純、複雑、乱雑]
◎単純とは、要素の種類が少なく、そこに規則がすぐさま見て取れる。複雑とは、いくつもの規則が階層的に混じり合って、それらを簡単には読み取れない。複雑に対して、乱雑という言葉があるが、乱雑はそこに規則が存在しないことである。
[トーナメント形式システムの特徴]
◎宇宙を筆頭に、あらゆるトーナメント形式システムは一般的に次の特徴を持つ。
1)上昇(ボトムアップ・中心)⇔下降(トップダウン・周辺)、
2)成長⇔崩壊、
3)普遍(総合・上位)⇔特殊(専門・下位)、
4)複雑(多様・異質性・質)⇔単純(一様・同質性・量)、
5)結合(自己組織化)⇔分解、
6)全体(マクロ)⇔部分(ミクロ)、
7)自律(閉鎖)⇔依存(開放)、
矛盾的自己同一(1)〜7)を一言で言った表現)、
8)(多層・多重)階層構造、
9)階層間での情報・物質・エネルギーの相互作用と円循環(リサイクル・輪廻)。
[トーナメント形式システムは動的システム]
◎トーナメント形式システムは、相反する性質(例えば、上昇⇔下降、複雑⇔単純など)を内に秘める(矛盾的自己同一する)ことによって、固定化を免れ常に動的に変化する、振り子が前後に揺れるように。
[動的システム]
◎その動的システムは、構成要素が相互作用(相互的受発信・働き合い)することによって、あるいは外部から情報・物質・エネルギーを受信受容することによって変化し、システム全体もそれにつれて変化する。部分の変化が全体を動かす。
[トーナメント形式を表現する具体例]
◎トーナメント形式を示す具体例は、生物進化・樹木・血管系・ニューロン・色・物質(原子)・分類・細胞分裂・宇宙体系・音楽・遺伝子・タンパク質・人体・人的組織・言語(概念知識)・高校野球などなど。とにかく、トーナメント形式は宇宙の普遍原理である。
[トーナメント形式をイメージ化したマンダラ]
◎ピラミッドはマンダラとともにトーナメント形式(宇宙原理)の具体的表現である、実はあらゆるものがそうなのだが。マンダラは宇宙の真理・仏の本質・無上正等覚(最高の悟り)を意味し、整然と秩序だった世界(宇宙)を表現する。ユングはマンダラを「自己」の超越(階層上昇)性・全体性・統合の象徴として使う。
[階層性をうまく表現するピラミッド]
◎頂上先端がとがっていて、下にゆくほど末広がりになる四角錐の形をするピラミッドはトーナメント形式の階層性をうまく表現する。古代エジプト時代に造営されたピラミッドは王を頂点とする巨大な中央集権国家の存在を指し示す。
[あなた方の教師はただ一人]
◎「あなた方の教師はキリストただ一人だけである」と新約聖書(マタイ福音書)はいう。
◎この言葉をトーナメント形式に重ねると、知識の出所(教師)は一カ所だけ(ただ一人だけ)で、あらゆる知識を一つに統合する(トーナメント形式の)頂点に立つのがキリスト(前4年-30年頃)だとの宣言である。さらに「教師」からトップダウン(下降)方向の発信だと知れる。なおイエスは個人名であるが、キリストは「救世主」という称号名である。
[天上天下唯我独尊]
◎「天上天下唯我独尊」と、釈迦(前463-前383年/前560-前480年)が誕生した時に、右手で天を指し示し、左手で地を指さして唱えた。
◎仏教ではそういう。これは宇宙(天上天下)の中で我(釈迦)より尊いものはない(トーナメント形式の最高拠点にただ一人釈迦が立つ)ということを示す。
[無限なる唯一実在のトーナメント形式での分化発展]
◎哲学者西田幾多郎(1870-1945)は「善の研究」の中で、「無限なる唯一実在が小より大に、浅より深に、自己を分化発展する」という。
◎「無限なる唯一実在」(最上階層に位置する神仏)だけでなくその一要素(部分)である人間も同じ方式で分化発展してゆく。
[分解・結合機能を持って階層構造を成しながら成長]
◎唯一実在が放つ、階層構造を成し分解・結合(に代表される矛盾的自己同一の)機能を持つトーナメント形式であらゆるものが成長してゆく。ただそれぞれは登り詰められる階層が定められる。
[スペンサーは宇宙全体にわたる進化論哲学を提唱]
◎「地球、地球上の生命、社会、政治、産業、言語、文学、科学、芸術において、単純なものから複雑なものへという同様の進化が、継続的な分化を通じていたるところで起きる」と、また「進歩といわれるものの本質部分が同質性から異質性への変化にある」という。
◎イギリスの哲学者スペンサー(1820-1903)のいう、あらゆる分野における変化(進化)方向がトーナメント形式である。彼はすべての知識を包括・統合する進化論哲学(進化についての一般原理を体系化する「綜合哲学体系」)を生み出す。私も彼と同じこと(さまざまな分野の変化を読み取っての宇宙原理体系の作成)を目指している。彼の二番煎じとならなければよいが。
[トーナメント形式的発展は進化論をも含む]
◎彼は星の生成から社会・文化の発展に至るまであらゆるものを、ダーウィン進化論(進化法則)に基づいた進化発展として説明し、宇宙全体にわたる一般的・総合的・有機的進歩の法則(進化の一般原理)を主張する。私は宇宙全体の変化方向はダーウィン進化論もそこに含まれるトーナメント形式的発展だと考える。
[生物進化の方向はトーナメント形式に従う]
◎それぞれの生物種は長い間に次第に変化し分岐(異質化/同質性から異質性への変化)して生じた。生物進化はスペンサーのいうように、原則的には体制や構造が単純で、機能が未分化・不完全なものから、次第に体制・構造が複雑で、機能が分化・分業化し完全精密なものへと変わってゆく。
[退化・消失も全体的向上に寄与すれば進化]
◎ときには構造・機能が部分的に退化・消失する。例えば、クジラの足の退化の場合は、それによってその生物の生命活動が向上(進展)するので進化(への貢献)と評価する。いったん出現したものの退化・消失は内面化・裏面化・新しい段階の展開だといえる。
[生物進化の系統樹はトーナメント形式的図式]
◎生物進化の系統樹(図式表)はドイツの動物学者ヘッケル(1834-1919)が提唱する。樹木が種子から発芽し成長するにつれて枝葉が生じるように,生物もある原始生物から始まり、進化が進むにつれて多種多様な生物群に分化(枝分かれ)してきた、つまり単純から複雑へ、同質から異質へと進化的変化をとげてきた、と考えた。そしてその系統樹(類縁関係図)はトーナメント形式をなす。
[トーナメント形式を二つ逆対応的に連結させた樹木]
◎樹木は、幹から地下へと根がトーナメント形式で広がる、また逆に幹から上へとトーナメント形式で枝・葉を広げる。樹木はトーナメント形式を二つ逆対応的に連結させた、二つの三角形を頂点どうし合体させる。上下二つの三角形を重ね合わせた「ダビデの星」(霊と肉との結合の象徴)のように。
[樹木は栄養などを上昇下降させる]
◎樹木では根から地上の幹に向けてボトムアップ(上昇・中心)方向で栄養分を吸い上げる。その栄養分は幹(中心・核)から枝・葉に向かってトップダウン(下降・周辺)方向に送り出す。もちろん一方通行ではなく、太陽エネルギーは葉からデンプンなどに姿を変えながら根にもたらされる。
[階層構造を成す樹木]
◎樹木は階層構造[種子→幹→枝→葉→花→実/成長・実現順序]を成す。実の中にある種子は、再び地上に落ちて芽を出すという循環(輪廻・リサイクル)も行われる。
[トーナメント形式を二つ逆対応的に連結する血管系]
◎人の血管系も樹木と同様にトーナメント形式を二つ逆対応的に連結する。心臓(肺)を最高拠点(頂点・最上階層)として、動脈系は一本の大動脈がトップダウン(周辺)方向に枝分かれしながら毛細血管へと広がってゆき、末端に到達する。
◎血管はそこで反転して静脈系と名前を変えて再び最高拠点(心臓・肺)に向けてボトムアップ(中心)方向へ帰還する。
[血管系は途中でリーグ形式優位の拠点もある]
◎最高拠点(出発地点)から出て再度出発地点へと帰還するのは円循環(リサイクル)である。だがその途中で血管の枝が複雑に結合して動脈網・静脈叢などのネットワーク(縦よりも横関係重視のリーグ形式)を作る領域もある。
[トップダウン方向に発信し、ボトムアップ方向に受信するニューロン]
◎情報伝達を担うニューロンは、核を持つ細胞体(放送室)、軸索(送受信伝線)、樹状突起(アンテナ・接続プラグ)で構成される。
ニューロンの機能は、情報の受信・解読・符号化・送信である。細胞体を拠点として、情報発信はトップダウン方向で軸索を伝い樹状突起に向けて広がって(拡散して)ゆく。情報受信は逆にボトムアップ方向で数多くの樹状突起から軸索を伝い細胞体に収束する。
[宇宙は情報・物質・エネルギーの流れが重要]
◎このように進化的上位にある標準(完全)的な樹木・血管系・ニューロンは互いによく似た形態・機能を持つ。宇宙では情報・物質・エネルギーの流れ(を如何に作り出すか)が重要になっている。