宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第四章 多様性と統一性とをもたらす階層構造 [25]階層構造を成す具体例

[25]階層構造を成す具体例
[儒教の修・斉・治・平は階層の上昇]
1)儒教(孔子を開祖とする教え)はいう、修身(個人)→斉家(家庭)→治国(国家)→平天下(世界)と。階層の下から個人がまとまって家庭ができ、家庭がまとまって国ができ、国がまとまって世界ができる。それらが修・斉・治・平(秩序化)することですべて一つにまとまると。
[ひな壇も階層構造を象徴]
2)3月3日はひな祭り(桃の節句)である。ひな壇は、男女の内裏雛三人官女→五人囃子→随身(朝廷高官の護衛兵)→衛士(護衛の兵士)→調度(たんす・長持など)が階層別に飾られる。さらに菱餅(紅白で構成)・白酒・桃(白と赤の結合)の花を供える。
[蓮華は階層構造を成す]
3)仏教と縁の深い蓮華は階層構造を成す。蓮の花(台座)に立つ座る仏像は多い。極楽浄土を象徴する蓮の花は淡紅色か白で、水面に花を咲かせて目を楽しませ、実は食べられ、地中にできる蓮根も食用となる。葉は役に立たないせいか、「蓮っ葉」という不名誉な意味を付けられる。蓮は、泥の地中が肉体(地獄)を、水が心(あるいは俗世間)を、花の咲く水上が天を表す。蓮は地獄から俗世界を経て天井へと至る人間模様を象徴する。
[階層を相転移する水]
4)氷→水→水蒸気と階層を相転移するに従って部分(元素)が優先される。水は零度にまで温度が下がると、分子運動は緩慢になり、分子間は緊密度を増して氷の結晶を作り始める。分子の動きがバラバラの無秩序から秩序へと相転移して、水が氷となる。
[相転移は結合力の強弱によって決まる]
◎逆に分子は温度が高くなればなるほどその動きは活発になる。次第に分子間の結合力に打ち勝って、分子は飛び散って、百度を越えると、烈しく蒸発してバラバラに離れ水蒸気となる。
[温度が下がるに連れて結合力が分離する、下位(階層)分類される]
5)宇宙誕生の極初期にはすべての力が統一されていた。というよりも、存在が見えなかった、働く場がなくて。抽象的なものは働くことによって存在を明示する。だが、温度が下がるに連れて力が分離(潜在から顕在へと登場)されて、今では四種類の力(重力・強い力・弱い力・電磁気力)が存在する。
[それぞれの力は影響範囲と対象が異なる]
強い相互作用(強い力)は、素粒子・陽子・中性子・中間子・原子核内に働く近距離間の強い核力(結合力)である。弱い相互作用(弱い力)は、分子・分子集合の世界で近距離間に働く力である。電磁相互作用(電磁気力)は、光子によって媒介される遠距離間の力である。
[無条件・無差別の結合はない]
◎階層によってこのような働く力の種類・強さ・影響範囲・対象が異なる。どんなものでも物理化学的力によって無条件・無差別に結合するわけではなく限界・範囲がある。ないのは最上階のみである。
[重力=万有引力(結合力)+遠心力(分離力)]
◎重力相互作用(重力)は、星や物体の(可視の)世界で遠距離間にまで働く引力(結合力)である。私たちになじみ深い重力は万有引力と(地球の自転により生まれる)遠心力の合力である。
人工衛星は秒速11キロメートルで打ち上げる(遠心力)と、地球の引力から脱出する。太陽からでは秒速60キロメートルが必要で、月からの引力に打ち勝つには秒速2キロメートルで遠ざかればよい。
[知識も階層構造を成す]
6)知識も体系的階層構造[物理(運動)法則・化学法則→遺伝情報・本能→個人的学習・経験知識→集団的文化的知識]を成す。
[人間はすべての階層の知識を利用できる]
◎物質・無生物は物理法則・化学法則(必然の法則)など、外部情報のみに従って動く。植物はそれに加えて細胞内に持つ遺伝情報にも従う。動物はさらにそれらに加えて、情報を追加・加工する進化システム(脳)を持って本能・学習・経験知識にも従う。
◎人間はそれらに加えてもう一つ文化的知識(系統的経験知識体系)にも従う、つまり四つのすべての情報階層を串団子(団子四兄弟)のように包み込む。このように上位へゆくほど下位を基礎としてその上に積み上げてゆく。
[プログラムされた自動化]
◎コンピュータはプログラムに従って入力情報を処理して出力するので、対応すべき事柄に対してあらかじめプログラム(手順書)を用意する。それゆえ、突発的な計算外(想定外)の出来事に対してコンピュータはお手上げで対処できない。
[現場対応する手動]
◎そのような場合には、人がその後を引き継いで対応する。対応後・処置後はその解決方法(外在的知識)をプログラム(内在的知識)化する。成長はそのような自動(内在的知識)と手動(外在的知識)の(自動の上に手動を積み重ねる)シーソーゲームである。
◎(手動を必要とする)現場を知らない上司は更新(バージョンアップ)できない旧式ソフト内臓のコンピュータにすぎない。現場は宝の山(同時の苦労の山でもあるが)である。現場に足を運ばない上司は部下を理解できなくなる。
◎動物はこのようにして個人内で更新した知識体系を子孫に伝承できない。これが動物の進歩を阻んでいる。個人内の知識を個人間(文化)に移す手段を持たない。
[地球内部も層構造を成す]
7)地球内部も層構造を成す。地球の内部は「核」(主に鉄から成り、融解した液体状の外核と固体の内核)→「マントル」(地殻の下から深さ約2900kmまでの部分で、地球の体積の約8割を占める)→「地殻」(表層面)、の三つの層に区分される。人間の体でいえば、皮膚(=地殻)+肉(=マントル)+骨(=核)である。
[人間の脳は四層構造を成す]
8)人間の脳は三層(四層)構造[脊髄(反射神経)→脳幹(内部調節機構:延髄・橋・中脳・視床下部視床)→大脳辺縁系(外向性)→大脳新皮質(内向性)]を成す。学問的にいえば、(背骨の中にある)脊髄は(頭蓋骨の中に収まっている)脳には含まれない。知識や脳機能は上層ほど自由度(柔軟性・選択肢)が増す。
[最高指令部(大脳基底核)で定型的行動をする魚類・爬虫類・鳥類の脳]
◎魚類・爬虫類・鳥類の脳は大脳基底核(脳幹に所属)が運動面での最高指令部で定型的(パターン化された)行動ができる。より高等な動物の大脳基底核(尾状核被殻淡蒼球扁桃体前障の総称名)は運動皮質(大脳新皮質・上位層)からの下降経路の中継基地で運動制御を担当する。大脳基底核は進化につれて下降人事される。ご同情申し上げる。
[高等動物ほど多種の脳部位が出現・発達する]
◎喜怒哀楽を受発信する情動の座である大脳辺縁系も爬虫類になって出現するが、それでもまだまだ未発達(笑う爬虫類を見たことがない)である。ヒトでは運動の最高中枢である大脳新皮質は爬虫類に至ってもほとんど現れていない。上位機能ほど遅れて出現する。
[高次階層が出現すれば低次階層は権限委譲を行う]
◎高次階層が新たに出現すれば、低次階層は最高決議機関ではなくなり、権限委譲を行う。国家でも国政段階→都道府県段階→市町村段階とレベル差があるように。両生類は中脳が視覚情報の最終受信部位だが、爬虫類以降は大脳新皮質が視覚情報の受信部位になる。
[宇宙では上へ上へと建て増し、権限の分割と移譲が行われる]
◎宇宙は基礎の上に次々と建て増す方式が取られるので、二階が最高階であっても、その上に三階部分が建て増しされると、機能分化・分業が行われ、権限の分割と委譲が行われる。しかしそれらをすべて情報がきちんと流れるかが大事である。
[情報は脳・神経を上下する]
9)姿勢制御の情報は、骨格筋→脊髄→脳幹→小脳→大脳新皮質を上下する。姿勢反射(脳幹が中枢)は単一の反射ではなく、いくつかの要素的反射が互いに協調して実行される。脊髄→延髄→中脳と異なる階層にそれぞれ反射中枢があって、各中枢は受け持ち領域が異なり上位階層に登るほど全身へと広範囲に統合的に反応する。
[上位中枢は末梢からの情報に基づいて抑制と亢進とによって協調的に制御する]
◎筋肉は基本的には屈筋と伸筋との反対であるが釣り合う筋(拮抗筋)を持つ。屈筋が収縮すると伸筋は抑制されて弛緩する。これらの(矛盾的自己同一する)二筋は、筋肉の中にある筋紡錘と腱紡錘が筋肉の状態を脊髄に(求心性の情報を)フィードバックすることによって、脊髄で協調的に統合される。
[上位中枢は下位中枢を制御・介入・調整する]
◎その仕組みは、上位の中枢神経系から強さや反応方法について制御・介入・調節される。脊髄反射を統合・調節する拠点は脊髄内と上位の脳幹とにある。上位中枢は末梢からの感覚情報に基づいて、反射群(姿勢反射・脊髄反射)を相反する抑制(off)と亢進(on)とによって制御しながら協調性のある運動を行う。
[基本運動単位をプログラム化したものが本能]
◎基本単位の運動プログラムをひとまとまりのさらに大きなプログラムとして組み立てると、高度に精巧な行動が生得的な行動と同じほど自律的に行われる。これは本能化といえよう。それを実行するのは最も重要な随意運動組織である大脳新皮質と小脳である。
[上乗せした新制御システムは下位階層が下した判断に対して指令を出す]
◎今までのシステムに新たな制御システムを上乗せすることによって下位階層が下した判断に対して、進め(go/on)か止まれ(stop/off)の指令を出せる。止まれの場合新たな判断を下してそれを下位に伝える。進め(自律制御)の場合には、上位は別の機能を働かせるという分業が可能となる。
[精神的発達面における階層構造]
10)精神分析学者エリクソン(1902-1994)は乳児期から老年期までの生涯を八つの発達的階層構造として説明した。各階層は発達促進的力と退行的力との核心的葛藤・危機があり、その葛藤・危機の解決・乗り越えによってさらに上の階層へと進む。
[各階層での葛藤内容]
◎八つの発達的階層構造を示す。1)乳児期(信頼感⇔不信感)→2)幼児期(自律性⇔恥・疑惑)→3)児童期(自主性⇔罪責感)→4)学童期(勤勉性⇔劣等感)→5)思春期・青年期(同一性確立⇔同一性拡散)→6)成人期(親密性⇔孤立)→7)壮年期(世代性⇔自己陶酔)→8)老年期(知恵⇔絶望)。
[各時期の発達課題を解決することで階層を上る]
◎例えば、乳児期は母親との間で基本的信頼をつちかう課題を達成したかを問う。その時期での、母親の死亡や長期不在は、他人を恐れる、食欲をなくす、不眠に陥りる、自閉的になるなどの症候群を引き起こし大きな精神的外傷体験となり得る。
[発達課題の未解決は精神成長の停滞をもたらす]
◎各時期の発達課題を解決することで階層を上るが、未解決であれば、肉体的成長は進んでも(時にそれすら停止することもあるが)精神的成長は停滞する。肉体と精神の不均衡が発生する。基礎を造った上に新しいものを積み上げるのが発達(進化)であるから。
[神を頂点(最高拠点)とする天・地・海という階層構造]
11)旧約聖書(ネヘミヤ記第9章)はいう、「ただあなただけが主です。あなたは諸天と、諸天の天と、その軍勢、地とその上のすべてのもの、海とその中のすべてのものを造り、そのすべてを生かしておられます」と。
◎これはあなた(=神)を頂点(「だけが主」最高拠点・主)とする天(複数)→地→海という階層構造を言い表す。
[人間は要素結合面で階層構造を成す]
12)人間は要素結合面で階層構造を成す。素粒子→原子→分子→無機化合物(二酸化炭素・窒素など)→有機化合物→化学反応システム群→細胞小器官(核・ミトコンドリア葉緑体など)→細胞→組織・器官(肝臓・心臓など)→五体→個人→家族→社会(地域・市町村・府県)→国家→世界→宇宙へと。
[生物の系統分類は階層構造を持つ]
13)生物の系統分類は、界→門→綱→目→科→属→種の階層構造を持つ。門より上位階層をさらに生物分類すれば、動物界・植物界・菌界(キノコ・カビ)・原生動物界(藻類・粘菌)・モネラ界(ウィルス・バクテリア)となる。
[人類の系統分類]
◎その内で、人類は「動物界→脊索動物門(脊椎動物亜門)→(四足上綱)哺乳綱(真獣亜綱)→霊長目(真猿亜目)→ヒト科→ヒト属→ヒト種」と系統分類できる。

結晶相転移論

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