宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第一章 トーナメント形式とシステム [3]生命は動的秩序形成活動である

[3]生命は動的秩序形成活動である
[生命は自己維持をはかる動的秩序形成力]
◎生命(意識・精神)は目的に向けて物質を秩序化する力、部分を統合して素材を組合わせ全体を組織化する力、物質・エネルギー・情報に関して内(生命体)と外(環境)との相互作用を行い、内部を変化させつつも自己維持(恒常性維持)をはかる動的秩序形成力である。
[生命は物質・エネルギー・情報の流れを作り出して構造・機能を創造・維持する]
◎(体内)物質はエントロピーの法則によって絶えず劣化・分解するので常に生産されねばならない。生命はそれ故物質・エネルギー・情報の流れを自ら作り出すことによって、自分の構造・機能を創造・維持する。
[ポイエーシスは、活動によって無秩序に秩序をもたらし顕在化させる]
◎ポイエーシス(生産活動)は、潜在するものを顕在化する、無秩序(混沌)に秩序をもたらす。オートポイエーシス(自動生産活動)は、生産の流れを反復(継続)的に作り出して秩序化された範囲全体をシステムに仕立て上げる。偶然作り出されたものも反復的に繰り返されると必然となる。そのように生産することによってのみ自分の境界を区切り、構成要素を連続的に生産することで空間内に存在(定位)する。
[機能・現象(生産活動)が存在と境界とを指し示す]
◎例えば、黒潮親潮は、現象の反復・継続を通じて自分の境界とシステムの所在を指し示す。宇宙はこの働き・現象のみである。機能する(働きがある)から存在する、構造があるからではない。物はすべて借り物、機能停止すると直ちに存在は霧散消滅する。
[概念オートポイエーシス発想の転換をもたらす]
◎チリの生理学者マトゥラーナとバレラによって提唱された、[オートポイエーシス]の概念は発想を逆転させる。今までは構造(肉体)が存在を指し示すといったが、オートポイエーシスの方では機能・現象(生産活動)が存在と境界とを指し示すと主張する。
[生命活動の特徴]
◎生物の生命活動の特徴は、遺伝子・タンパク質合成・代謝・エネルギー生産・細胞分裂・(自己と環境との)境界膜・自己複製である。生命は円環(リサイクル/振り出しに戻る)型化学反応システムを細胞内に持ち、それによって身体構成物質を生産し、新陳(物質)代謝する。膜によって限界を区切り、無方向的ブラウン運動(混沌)に方向性(秩序)を与える。遺伝子(情報)によって運動・反応を組織化・ネットワーク化し、分裂によって増殖(自己複製)する。
[受容と放出という環境との相互作用]
◎自分にとって有益な栄養物・エネルギーを環境から受け取り、新陳代謝によって作り出された用済みの古い物質(老廃物)を環境の中に吐き出す、このように新しい物が古い物に取って代わる。人間の場合、生み出された余剰・過剰エネルギーは芸術・スポーツなどの文化活動の形(とは限らないが)で放出する。
[自然界は循環によって、悪(環境破壊物質)を善(食料源)へと生まれ変わらせる]
◎生命は環境破壊や汚染をしないでは生きていけない。所が、自然界は循環によって、あるものにとっての悪(環境破壊物質)を他のものの善(食料源)へと生まれ変わらせる。このことによって地球死滅が免れている、つまりお互いは関わり合い・助け合い・相互依存し合いながら生きている。例えば、樹木(二酸化炭素)と人間(酸素)。
[無生物と生物との中間地点にあるウィルス・プリオン]
◎生命活動能力をほとんど根本的に持たない、無生物と生物との中間地点に[ウィルス]・[プリオン]が存在する。自然はどこかではっきり一線を画すのではなく、徐々になだらかに移行する。
[ウィルスは生物性と物質性とを合わせ持つ]
◎ウィルスは、核酸(遺伝物質)とタンパク質から構成され膜を持つ。例えば、マイコプラズマは遺伝子を468個持つ。方やタバコモザイクウィルス(植物ウィルス)は、バラバラになっても、分子間に働く力(ファンデルワールス力・分子間力・分子結晶力・液体凝集力)によって再結合(自己集合)する物質性も持つ。
[ウィルスは単独では物質的だが、他者の中で生物化する]
◎ウィルスは単独で存在する時は結晶の形を取り、代謝システムを持たず自己増殖もできない。所が、他の生命に侵入することで増殖が可能となり、その核の中に入り込んで遺伝子(情報)を乗っ取り、設計図を自分に都合よく書き換え(ということは遺伝子解読能力を持つ)、細胞内の機能を占拠し細胞を破壊したり病気を引き起こしたりする。
[プリオンはタンパク質の一種だが増殖する]
◎ウィルスよりもさらに無生物に近いプリオンは、遺伝子(核酸)すら持たないが、タンパク質を遺伝子として使い増殖(脳に沈着しさまざまな症状を引き起こす)も行う。世界的に有名で日本にもパニックに近い騒動を巻き起こした狂牛病はこのプリオンがもたらす。
[自律性・能動性を高める方向への生物進化]
◎無生物に近いウィルス・プリオンはきわめて依存性が高い、依存というよりも寄生である。自然界でも化学反応は起こるが、生物は、必要な反応を、必要なときに、必要な速さで、必要な場所で起こさせる触媒(酵素・タンパク質)を生成する。生命は基本動作(化学反応)を自然に頼る(依存する)が、それらを自分の都合に合わせて自前(遺伝子情報)で行う自律性・能動性を高める方向へと進化する。