宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第十一章 情報・物質・エネルギーの維持・相互作用・循環 [80]身体情報記憶素子の遺伝子とそれによって作り出されるタンパク質

[80]身体情報記憶素子の遺伝子とそれによって作り出されるタンパク質
[人はアミノ酸の組み合わせたタンパク質を約10万種類使う]
◎人は約10万種類のタンパク質を使う。それはアミノ酸の組み合わせ(アミノ酸結合体・アミノ酸化合物・ポリペプチド)からできる。逆からいえば、アミノ酸(化合物)はタンパク質を分解したものである。
[二十種類のアミノ酸を組み合わせて多様なタンパク質を合成]
◎窒素化合物であるアミノ酸(タンパク質構成単位)は、自然界には約50種類ある。その内で生物が使うのは20種類である。日本語の単語は四七文字の組み合わせで作られるが。多種多様(約10万種類)なタンパク質が二十種類のアミノ酸の組合せで造られる。とはいえ、アミノ酸だけから作られるとは限らないが。
[植物は必要なすべてのアミノ酸を体内で合成し、動物はそれらを植物に依存する]
◎生物が使用するアミノ酸の内で動物が自分の体内で合成できず、食物として摂取するものを必須アミノ酸という。植物は必要なすべてのアミノ酸を体内で合成できる。動物は自給自足できずにそれらの一部(人間では八種類)を植物に依存する。宇宙では基本的に上位者は要素を下位者に依存する。
[タンパク質は生命活動にとって基礎的本質的役割を果たす]
◎生命活動にとって基礎的中心的役割を果たすタンパク質の種類・機能はきわめて多種多様である。例えば、体内での化学反応(結合・分解)を促進する触媒(酵素)、身体を構成する物質(骨・腱・皮膚の補強するコラーゲン)、筋肉のもと(アクチン・ミオシン)、各種のホルモン・抗体などなど。
[摂取されたタンパク質は分解され、遺伝子に基づいてタンパク質に再合成される]
◎食物として摂取されたタンパク質はそのままで使われることはなく分解酵素によってまずはアミノ酸へと加水分解され、主に小腸から吸収される。それらはさまざまな組織内で遺伝子に基づいてそこで必要とする種類のタンパク質に再合成される。
[文字を単語に合成するように遺伝子はアミノ酸をタンパク質に合成する]
◎これはタンパク質(単語)をいったん文字にまで分解して、必要なときに必要なところで、その文字を自在に組み合わせて単語を再生するようなものである。それをするのが遺伝子だから、遺伝子は文法機能(結合分解法則)だと見なせる。
[人のゲノム情報量はCD一枚とほぼ同じ情報量]
◎人のゲノム(一人分の全遺伝子)情報量は750メガバイトで、680メガバイトのCD一枚とほぼ同じ情報量である。人間の場合、ゲノムの全長は約二メートルで、これが百分の一ミリメートルの細胞内にらせん状に納められる(巻き尺を思い浮かべられよ)。自然は驚異的能力の持ち主である。
[塩基配列が情報を担いその最小単位が遺伝子]
◎人では46本の糸状染色体構造(巨大分子)を持つDNA(デオキシリボ核酸)の中に遺伝情報が含まれる。情報を担わない部分も相当にある。核酸は塩基・糖・リン酸で構成され、その内の塩基は四種類からなる。この塩基の配列が遺伝情報を担い、その最小単位を遺伝子と呼ぶ。
[遺伝情報は四つの文字で書かれ、それを組み合わせた単語が遺伝子]
◎遺伝情報は四つの文字(アデニン・チミン・グアニン・シトシン)で書かれ、それを組み合わせた単語を遺伝子と呼び、一冊の単語集をゲノムという。遺伝情報は、DNA(塩基)→ヌクレオチド(核酸構成単位)→遺伝子(機能的意味単位)→染色体(遺伝子群で構成されるひも状巨大分子)→ゲノム(人は46本の糸状染色体を持つ)という階層構造をなす。
[メタン菌は生物中で最も短い遺伝情報量を持つ]
◎生物中で最も短いゲノム(全遺伝情報)はメタン生成細菌の約160万個のヌクレオチド(DNA最小構成単位)の鎖である。大腸菌では約450万個のDNA塩基(ヌクレオチド)数、約4000の遺伝子を持つ。
[バクテリアからヒトまですべての生物は全く同一の共通語(遺伝子)を使う]
◎植物も含めバクテリア(細菌)からヒトまですべての生物は全く同一のDNAを遺伝子として持つ。すべての生物は同じ言語(文字)を使用し、共通の祖先を持ち、共通語(遺伝子)を話す、一つの源泉から湧き出た水のように。
[いくつもの遺伝子が同時に関与して作用する]
アルバート=ラズロ・バラバシは「新ネットワーク思考」で、「病気には、どれか一つの遺伝子ではなく、細胞内に隠れた複雑なネットワークを介して相互作用するいくつもの遺伝子が同時に関与している」という。
◎遺伝子は単独行動をする者もいるが、彼がいうようにほとんどは集団行動(同時的関与)をする。
[遺伝子も言葉と同じように、階層構造をなす]
◎単にタンパク質を作るだけが遺伝子の機能ではなく、遺伝子を操作するさらに階層の高い遺伝子も存在する。遺伝子も言葉と同じように、階層構造をなし、遺伝子を操作する文法・法則が存在する。たとえると、大きな領域を活動させるために、部署の長(部長)に命令を発すると、その人が統率する複数の課・課員が大勢で活動を開始する。
[百以上もまとめて制御する高い階層にある遺伝子も存在する]
◎例えば、ホメオティック遺伝子はタンパク質制御遺伝子を百以上もまとめて制御する高い階層にある。ハエでは八種類の(形態形成に関与する)ホメオティック遺伝子を持つが、人では三十九種類にものぼる。ハエでは眼を発生させるのに二千五百もの遺伝子が動員されるが、それらを制御する上位遺伝子がある。
[遺伝子の発現を集約する総元締め的役割を持つマスター遺伝子]
◎さらに別のマスター遺伝子は、大きな機能の詳細を決める遺伝子群の発現(スイッチオン・点灯)の連鎖的な流れのほぼ最上位にあって、それらの遺伝子の発現を集約する総元締め的役割を持つ。
[遺伝子とタンパク質は相互作用する]
◎遺伝子の読み取り(コピー)を抑制するタンパク質は遺伝子の働きを入り切りするスイッチの役目を果たす。そうなると遺伝子が上位なのかタンパク質が上位なのかはたまた同じなのか分からなくなる。進化的にはタンパク質の方が古参なのだが。
[遺伝子は生物進化と共に階層が高くなるのか]
◎生物進化の樹状階層が高くなるほど遺伝子は長くなる傾向があるけれども、人の遺伝子(ゲノム)はイモリのそれよりも短い。これはイモリのゲノムよりも人のゲノムの方が階層が高い(深い)からだろう。人より本数の多い染色体を持つ生物もある。
◎文字の働きをする遺伝子、単語の働きをするもの、文の働きをするものと、一つでより大きな働きをする遺伝子を持つと想像される。
[不要になった遺伝子は発現が抑えられるが、潜在的可能性として出番を待つ]
◎進化の途上で獲得したさまざまな遺伝子を人は持つが、その内のすべてが発現するわけではなく、不要になったものは発現(顕在化)が抑えられ、潜在的可能性として出番を待つ。まれにその発現が見られ、尻尾を持った子供が生まれる先祖返りもある。あるいは必要が埋もれた遺伝子の発現をうながすこともあるらしい。
[遺伝子は書き込みできない読み出し専用の記憶装置]
◎遺伝子を(コンピュータ)メモリー(情報・プログラムを蓄える記憶装置)にたとえると、書き込みできない(とはいえ不可能ではない)が電源が切れても内容は失われない(個人を越えて次世代へと伝わる)読み出し専用の半導体記憶装置(ROM)、ロムだといえよう。
[脳内記憶装置は書き込み可能なラム形式]
◎それに対して、脳に貯えられる記憶情報は、読み出しだけでなく書き込みも可能で、時間・空間の順序に縛られない(ランダムな)検索が可能な記憶装置であるラム(RAM)に相当する。
[個人情報は書き込み可能がふさわしく、組織情報は読み出し専用が適切]
◎個人(脳内)情報はラム(RAM)がふさわしく、組織遺伝情報(集合無意識)はロム(ROM)が適切だろう。図書館の本に時としてふらちにも書き込みが見受けられるが、社会・集団の共有財産は個人が勝手に変更すれば混乱が生じる。
[組織情報も承認した上での書き換え・追加は必要]
◎科学界での変更は論文形式で公にされる。多くの者(主に学者であるが)の承認を受けた後では組織情報といえども書き換えられ追加される。恒常の中にも変異は必要である。どんなに硬い岩でも風化は免れない。

脳ネットワーク

脳ネットワーク

  • Chilling Music International
Amazon