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第五章 矛盾しながらも統一する矛盾的自己同一 [38]二元論(分離)から一元論(統合)への止揚

[38]二元論(分離)から一元論(統合)への止揚
[矛盾的自己同一の二要素(二元)は縄の如く相互作用をする]
◎二元論は、物事を相対立する二つの原理・要素、光と闇、陰と陽、形相と質料、現象と本体、善と悪、天と地、神と被造物、精神と物質、に基づいてとらえる。矛盾的自己同一は二要素ではあってもそれらは互いに離れることなく、相互作用をし、あざなえる縄の如く絡まり、上になったり下になったり、表になったり裏になったりと位置を変える。
[一者から発出する多要素は一元と見なす]
◎オランダの哲学者スピノザ(1632-77)の思惟(精神)と延長(物質・肉体)は唯一神の二つの属性なので一元論として扱われる。プロティノスは一者(絶対者・神)から最上階に精神が、その下の階に霊魂が、最下階に物質が3段階に分かれてブラインドが降りるように発出(流出)するという。この説も一者から発出するので一元論と見なされる。そうなれば、矛盾的自己同一も一元論といえよう。
[神世界で同居する二元も人間世界では分離する]
◎人間世界では、何事も精神と肉体(物質)、意識と無意識、善と悪などと分別される。しかしそれらは神世界では分離されることなく平和に同居している。
[体と心は弁証法的展開(融合→分離→再統合)をする]
◎体と心(特に精神)は弁証法的展開[体と心の混成・混沌・融合→体と心の分離(心の分離浮上・上心下身)→体と心の再統合(心による体の制御・心唱身随)]をする。
◎同じ階層に体と心が渾然一体となって存在する段階(混沌)から、体と心が分離し、体を一階に残したまま、心が二階部分を建て増(階層的秩序化)してそこに住み着く。原油が精製によって、ガソリン、重油軽油、灯油、アスファルトなどに分離されるように。
[全体は部分を上から包み込む]
◎東北大教授の高橋里美は、「全体は部分を包越する。包越は一つの超越であるが単なる超越としての超越ではなくして包むことによって越える」(包弁証法)という。
[超越は基礎の上に新たに上位階層を建て増す]
◎超越は階層を登るが、ただ登るのではなく、下の階層を基礎にしてその上に新たに上位階層を建て増す。包越は、上位と下位階層は分離したままではなく物質・情報・エネルギーを循環させて一つの階層構造的システムとして統合的に働く。