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このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第六章 変化へ開く受容・開放と現状維持の対決・閉鎖 [47]閉鎖=まゆ=卵の殻=眠り=内向=瞑想=空想・想像=内政専念

[47]閉鎖=まゆ=卵の殻=眠り=内向=瞑想=空想・想像=内政専念
[日本の鎖国江戸幕府による封建体制強化(内部充実)のため]
◎日本での鎖国江戸幕府による封建(中央集権的国家)体制強化のためである。キリスト教の伝道・信仰を禁止し、オランダ・中国・朝鮮以外の国々(スペイン・ポルトガルなど)との貿易と来航も禁止する。認可国との貿易も長崎1港(出島)に、外国人居住は居留地に限る。日本人の海外渡航を禁止し、海外にいる日本人の帰国を認めない。
◎このような物・人・情報の出入りを止める鎖国政策は1639年の鎖国令に始まり、1853年のペリー来航まで200年間以上続いた。
[卵は殻に守られる間に個体発生(細分化・精密化)する]
鎖国=閉鎖=まゆ=卵の殻=眠り=内向=瞑想=空想・想像=内政専念である。卵は殻に守られる間に、胎児は母体に保護されながら個体発生する。鎖国は、細分化・精密化は進んでも、新しいエネルギー・物質・情報が流入しないので、縦への発達はあっても横への発展はない。その発達もかなり片寄った個性的なものになる。
[素材をほとんど獲得しない内の鎖国(対人的遮断・孤立)は行動異常を伴う]
◎日本の鎖国では外国貿易は長崎1港に限り認められた。意図的ではないが自閉症(鎖国政策)が乳幼児期に発症すれば、内的充実を図ろうにも、素材をほとんど獲得しない内の鎖国(対人的遮断・孤立)であれば、言語発達の障害・対人関係(社会性)の障害・常同症・執着的行動・知覚感覚の異常は避けがたいだろう。
[目標の違いで腐敗と発酵に分岐する]
エントロピーの増大原理がいうように、遮断・孤立が強ければ強いほど、無秩序化してゆく可能性は高くなる、腐敗に向かうやもしれない。しかしながら、目標を高く強くかかげ続けるかぎり、情報の発酵は進み、香り豊かな美酒にも成り得る。上昇するか下降するかは目標の持ち方次第である。
[情報閉鎖では片寄りが激しくなる]
◎情報窓口が限られる閉鎖型システムであれば、情報の片寄りが激しいので、「お宅」・「ストーカー」の可能性も生まれる。遺伝的情報の片寄り(障害者が生まれる確率が高くなるといわれる)を避けるために、ほとんどの社会・国家は近親婚の禁止を実施する。
[濃過ぎる血は動脈硬化(情報停滞)を起こし心臓(中心部)に大きな負担となる]
◎血は水よりも濃いが、濃くなり過ぎると動脈硬化(情報停滞)などを起こし心臓(中心部)に大きな負担となる。それなのに組織内の偉い人は周りを親族・閥一で固めたがる。同じ考え・態度を持つ者ばかりの集団では血(知)が濃くなり過ぎて脳溢血で半身麻痺や言語障害などが残るだろう。
[多くの時間を費やすと特殊能力が脳内に発達する]
◎イディオ・サバン(サバン症候群)は、自閉症児・精神遅滞者が見せる特殊能力である。長崎の出島が鎖国時代で唯一の外国貿易地(もの・情報の出入り口)であったが、かなりの自閉症児は特定の事柄に異常なほどに関心を示し、多くの時間をその事柄に費やす。そうすれば、その事柄に関しては平均的能力をはるかに上回る下位システムが脳内で発達し機能する。
[脳に情報を入れると、それらを体系化・組織化し、法則があれば法則化する]
自閉症児では地名・駅名・カレンダー・時刻表について加工しないで生のままの記憶に驚異的能力を示すことも多い。例えば、カレンダーに関心を持ってほとんどの時間をカレンダーを見て過ごした自閉症の少年は何年何月何日は何曜日であったかを尋ねられると、即座に自動的に答えを出す。また時には音楽や絵画面で特異な才能を発揮することもある。脳(特に右脳)は情報を入れられれば、それらを体系化・組織化し、そこに法則があれば法則化する。
[論理思考よりも勝る右脳による能力]
◎論理思考によって出された答え(道元はこれを迷いという)よりも、脳が持つ働きに任せて出て来た答え(道元はこれを悟りという)の方が優れている。そのわけは、脳(右脳)は宇宙法則に従って答えをはじき出すが、論理思考(左脳)は人間法則によって答えをはじき出す。
[言葉(左脳)はイメージ(右脳)に取って代わりイメージは裏面化する]
◎通常人は成長するにつれて、視覚(だけではなく感覚全般)イメージの記述に言葉が使われ、言葉(左脳)が頭の中のイメージ(右脳)に取って代わりイメージは裏面化(下位階層化)する。これは右脳優位から左脳優位への主導権・権限委譲である。
[言語が発達せずにイメージ脳が発達する]
◎所が、言葉が発達しない場合、視覚(感覚全般)イメージは衰退しないばかりか逆に大きく発達する。つまり「イディオ・サバン」は発達する方向が標準より大きくずれるだけである。大きなお世話さんたちが標準(言語習得)に戻した結果、その特殊能力が消えた者もいる。
[文明社会の一大特徴は左脳優位で、未開社会は右脳優位である]
◎未開社会と文明社会(これらの言葉は価値評価を含むが適切・中立な言葉が見つからない)を分ける最も重要な基準は文字の有無で、未開社会は一般的に無文字である。特徴は、社会の規模が小さく親族関係が主要な位置を占める。生活の糧は一次産業(狩猟採集・農耕・牧畜等)で、自給自足経済である。分業・専門化はそれほど進んでいなく、他の社会とは独立性・閉鎖性が高い。
◎文明社会の一大特徴は左脳(文字)優位で、未開社会は右脳(イメージ)優位である。しかし情報の流入が未開社会を文明社会へと変貌させている。
[東洋は制度内に留まるが西洋は制度から抜け出した]
◎日本は中世においては西欧をはるかに凌駕していたが、日本と同様に東洋全体が近代になって西洋の後を追う立場に立ち至ったのは、制度内での受動的閉鎖的態度から来る。西洋は制度(キリスト教・君主)から抜け出すことが大きな目標であった。
[世界基準(機械文明)から見れば東洋(精神文明)は劣る]
◎今や西洋が世界基準となったので、世界基準(機械優位文明)から見れば東洋(精神優位文明)は劣る。東洋(精神文明)は今精神を捨てて、機械の方へ走り出している。機械文明が確立(物質優位)した日本は精神を呼び戻さねばならない。物質の上に精神を据えなければならない。
[紙面の竜を蘇生させ天に昇らせるには睛を書き加えなければならない]
◎所が、西洋では逆に心通わぬ機械が支配する機械文明のほころびが目立ち始め、そこに魂を吹き込む必要を欧米は感じている。ロビン・ウイリアムズは魂を勝ち取ったロボットを演じて見せた。とはいえ、命・魂を抜き取られた冷たい知識(科学)が西洋では氾濫(反乱)する。紙に描かれた竜を生かし天に昇らせるには睛(ひとみ・魂・命)を書き加えなければならない。