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第十二章 階層構造を成す脳 [93]扁桃体主体の迅速な判断と前頭連合野主体の慎重な判断との階層処理

[93]扁桃体主体の迅速な判断と前頭連合野主体の慎重な判断との階層処理
[視覚情報は視覚連合野で統合されて認知と意味づけが付加される]
◎情報の体内流れを示す。顔の視覚情報→感覚器官(網膜)→外側膝状体(視床)→大脳新皮質後頭葉第一次視覚野(イメージ形成)→第二次視覚野→視覚連合野(視覚情報の統合)→側頭葉(物体認識)[+頭頂葉(空間認識)]→扁桃体(意味認知・生物学的評価)+海馬体→視床下部
[幼児期は大脳辺縁系が主導権を持つ]
◎幼児期(2-3歳頃まで)は、大脳辺縁系が主導権を持つので、視床に入った感覚情報を扁桃体が最終判断して行動に移す。所が、思春期になると、前頭連合野が主導権を握り、今までの経験によって作り上げた大脳新皮質の情報処理システムを使って、各感覚連合野を統合する。とはいえ、思春期でも大人になっても前頭連合野が主導権を掌握していないと思われる事件が頻発するが。
[網膜を通過した映像は一次視覚野に地図として再現される]
◎網膜と一次視覚野との神経的接続は遺伝的に決定されおり、フイルムの映像がそのままスクリーンに投影されるように網膜投影像は一次視覚野にそのまま再現される。第一次視覚野はそれだけではなく空想力によって生み出された視覚的イメージや過去に記憶された映像をも映し出す。つまり外界(ボトムアップ)像も内界(トップダウン)想像も映し出す。
[一次視覚野は情報に基本的処理をした後、特定の部署に転送する]
◎一次視覚野は建物内中央電話交換室のように多種多様な視覚情報に基本的処理をした後、特定の部署に転送する。例えば、送り出された先の色彩処理部署が損傷していると、意識はこれが何色であるか認知する・思い出すことはできない。
[感覚情報は階層的に低次から高次へと質的に複雑化しながら認識が高まる]
◎視覚情報は一次視覚野に送られた後、色・形・運動・傾き・奥行き・方向・明暗などの属性・特性別に分解された上で並行処理される。視覚情報処理システムは、単純な形(点・線)→複雑な形態→色彩+動きと次々に要素的情報を加味し、階層的に低次から高次へと質的に複雑化しながら認識が高まる。意識が認知するのは加工済みの最終段階の視覚情報だが。
[情報はすり合わせながら次第に統合される]
◎情報処理は、単に一方通行的にボトムアップ方向の処理だけでなく、フィードバック(トップダウン)もあり、情報は上へ行ったり下へ戻されたりしながらすり合わせが行われる、三歩進んで二歩下がる進み方である。それによって解釈精度が高まってゆく。
[部分情報は書庫内に貯蔵された完成図と照らし合わせ全体像を導き出す]
◎脳は今までの情報受信の経験をもとにして完成図を作り、それらを記憶して置いて、不完全(ほとんどの場合そうであるが)な部分的情報が入って来ても、その部分情報と書庫内に貯蔵された完成図とを照らし合わせて全体像(完成像)を導き出す。
[全体像は聴覚像・触覚像と統合され音響入り体感的立体的視覚像が展開する]
◎最終的に統合しつつ一つの全体像は更に他の聴覚像や触覚像とも統合されて音響入り体感的立体的視覚像がパノラマ的に展開する。側頭連合野は聴覚情報・視覚情報・体性感覚(触覚)情報の統合場所で、頭頂連合野は視覚情報・体性感覚情報・運動情報の統合場所である。
[大脳新皮質は刺激を感情体験として受け取り、下位部位は行動へと向かう]
◎例えば、指の触覚情報は、指→脊髄→延髄→視床→体性感覚野へと送られる。その時、大脳新皮質視床を抑制(封鎖)すると、感覚情報が視床に入荷しても応答しない。所が、大きな刺激はこの抑制を強制解除させるので、視床(下部)が興奮してそれに反応する。そして大脳新皮質(上方)と下位部位(下方)との両方向へ情報を送信する。大脳新皮質はそれを感情体験として受け取り、下位部位はそれを行動化する。
[情報処理方式は、扁桃体主体の即行認識と前頭連合野主体の綿密認識とがある]
◎情報処理(経路)方式は、幼児がそうであった扁桃体主体の認識と、その後に付け加わった前頭連合野主体の認知とがある。後者に属す大脳新皮質(並列領域別構造)は時間をかけて綿密に情報処理をする。それに対して、扁桃体は感覚情報から、直に粗いけれども素早い(網膜→視床扁桃体)価値評価を下す。
[扁桃体は欲求充足的行動を選択する]
◎その後扁桃体自身の目標(欲求充足)に向けて行動計画を組み立て行動を選択し、外界に向けて行動する。今ここでの状況に対処するには扁桃体主体の大脳新皮質補助の情報処理方式を採用する。このように人は二階層の情報処理認識方式を持つ。