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第十二章 階層構造を成す脳 [92]大脳辺縁系内海馬体、本能・情動の判断者扁桃体と帯状回

[92]大脳辺縁系内海馬体、本能・情動の判断者扁桃体帯状回
[写真的(右脳)記憶能力=直観像]
◎将棋士升田幸三(1918-1991)はいう。走る電車の窓から電線にたくさんの雀がとまっているのを見て、その場ではもちろん数を勘定できない。しかし頭の中にどんな配列で止まっているか焼き付いているので、後でゆっくり数えられる。
[写真的(右脳)記憶能力は大脳辺縁系が主導権を持つ]
大脳辺縁系(扁桃体)は個々の具体的事象(イメージ)に関わり、個々性(個性)を抽象(必要を取って不要を捨てる)する一般化(抽象化・言語化)は大脳新皮質が受け持つ。ペンフィールドが行ったように大脳辺縁系を電気刺激すると、鮮明な感覚や感情を伴って過去の体験(直観像)が再現(再体験)される。升田幸三のような直観像保有者が像の細部を回想すると大脳新皮質は抑制(不活性化)され、大脳辺縁系が主導権を持つ。
[海馬体と扁桃体は情報の統合拠点]
◎海馬体から時間と空間情報を伴う客観的事実と主観的情動とが統合された情報が発信される。扁桃体は、すべての感覚連合野から感覚情報と身体の内部環境情報とが入る身体感覚の統合拠点である。さらにそこで顔の表情・声の情動的抑揚の認知をも行う。感情発信基地は(他者の)感情受信基地でもある。
[扁桃体は記憶情報と照合して、感覚刺激を自我的(主観的)価値評価する]
◎感覚情報を扁桃体は過去記憶情報と照合して、外界の(あくまで現在の自分の状態を基準にする)現時点での感覚刺激が自分にとって有益か有害か、好きか嫌いか、おいしい、怖いなどの自我的(主観的)価値評価を行う。それに基づいた意味を判定する。
[主観的評価はその時々で変更される]
扁桃体はその時々で(価値・意味)評価は変更させる。例えば、喉が乾くと、水を重要視するが、いえた直後では(無視して)反応しない。また脳幹の働き(逃避・攻撃などの本能行動)を上位より制御する、本能や行動を複雑化した情動行動の統合中枢でもある。
[感覚情報を感情に変換するのが扁桃体]
◎感覚情報を感情に変換するのが扁桃体なので、扁桃体の機能停止は感情判断の停止である。それによって、怒りや恐れの感情が生じず、恐怖や身を危険にさらす刺激に対する防御的反応が弱まり、非常に温和になる。
[自然な情動性の笑いは本能(扁桃体)の満足から来る]
◎自然な情動性の笑いは、感覚情報(視覚・聴覚・体性感覚)→視床→側頭葉(物体認識)→扁桃体(情動的価値の最終判断者)→大脳基底核(行動選択)→脳幹(顔面神経核+延髄呼吸中枢)→表情筋(笑顔)+「呼吸筋+咽頭筋」(笑い声)へと進む。
[意識的作り笑い泣きは前頭連合野から降りて来る]
◎赤ん坊の泣き笑いの感情は本能(扁桃体)由来のボトムアップ的な満足・不満足から来るので自然で屈託がない。それに対して、大人の意識的な作り泣き笑いは、前頭連合野(命令者)からトップダウン的に強引に降りて来るので屈折(素直でない)する。
[感覚情報・価値評価の情報が帯状回に収束し、動因・注意が形成され行動へと進む]
大脳辺縁系内の帯状回扁桃体とともに情動行動において重要な役割を果たす。感覚情報処理の流れの中で、海馬体・扁桃体(感情)・前頭連合野(知性)から感覚情報・価値評価の情報が帯状回(意欲の中心地)に収束し、それらの情報に基づいて動因・注意が帯状回に形成され行動へと進む。感情・精神を肉体に伝える、知性を意志化し、運動プログラム化する。