宇宙原理があなたの中を貫流する

このブクロを通じて宇宙を網羅する基本法則を提示していきたい。

第十一章 情報・物質・エネルギーの維持・相互作用・循環 [82]自我同一性は知識・経験の連続性・一貫性

[82]自我同一性は知識・経験の連続性・一貫性
[体を構成する物質は一年で総入れ替えする]
◎体を構成する物質は常に入れ替わる。一年もすれば中身が総入れ替えとなっている。体に関しては人は一年で別人になる。しかしながら、私は私、僕は僕として別人になった感じはまったくない。連続した一個の人格として存在し、自我の一貫性をもつ。
[自我の一貫性を持たせるのは肉体ではなく知識・経験である]
◎「自分は生まれてからずっと同一人物だ」と判断させるのはそれ故に肉体ではなく知識・経験である。ずっと私であり続ける同一性を維持させるのは過去から蓄積した自分の情報(記憶)であり、それを束ねる自我である。脳内の知識をつかさどる神経は一生入れ替わらない、減少はするが。
[自分が誰だか判断できる主体は心]
◎記憶喪失になれば、自分が誰だか分からない。記憶をなくした結果別人として生きる人も極たまにはいる。そのような人は一から生き直す(心の誕生)ようなものであろう。それらを考えると、主体は心の方にある、変な表現だが。
[自分がないとは、自分の中に太陽(自我)が確立していない]
◎さまざまな時間や場所にもかかわらず一貫して通底する自我同一性に対して、同一性拡散、「自分がない」「自分は将来何をしたらいいのか分からない」とか、同一性混乱、自分の中にいくつかの主体(同一性)があって統合できていない。
◎同一性拡散も混乱もともに、自分の中に核としての存在、太陽が太陽系から消えた、あるいはまだ育っていない。今まで拠り所にしていたものが突然取り払われると、同一性危機に見舞われる。
[知識体系は一つの中心核の下にまとめるのが自我]
◎知識体系はある一つの核の下にまとめられる必要がある。拡散・混乱は一つの太陽系にまとまり切らず、惑星がバラバラの動きをする、まだ自分の中に太陽(自我)が確立していない。惑星の中から最有力なものが太陽として中心(核)に納まる。それが中学時代から形成されてゆくものだろう。それを大きく膨らませる夢(希望=核)が欲しい。
[宗教は自我や集団をまとめる思想基盤(核)であった]
◎日本は中世の鎌倉時代になって、農業技術進歩による生産の増加と貨幣経済の発達と商業の発達が都市のほか荘園にも市場(定期市)を発達させた。その市場は人々を集める基地となった。さらにその人々をまとめる思想基盤が宗教(ある意味共通語・法律)であった。◎それ故に貴族のための宗教以外に、浄土宗(法然)・日蓮宗(日蓮)・浄土真宗(親鸞)・時宗(一遍)などが民衆向けに創始した新民衆仏教として農民の間に大きな支持を獲得した。また新たに台頭した武士たちは禅宗(臨済宗曹洞宗)をも受け入れた。その結果仏教史上で画期的新仏教隆盛の時代となった。
◎これはパラダイム(ある一時代のある集団のものの見方や解き方を規定する概念的枠組み)シフト、実際には古いパラダイムの上に新しいパラダイムが重層したといえる。
[国家や思想の崩壊は同一性拡散・混乱・危機を生み出す]
◎個人に起こることは国家階層においても起こり得る。国家や思想の崩壊による(民族・国民が歴史の転換期に自分を映す鏡[自分を育てる環境]を喪失する)同一性危機(拡散・混乱)は国民を宗教へと関心を一挙に高めたことが新宗教(思想)興隆の背後にある。
◎同一性拡散・混乱・危機に陥ると、そこから抜け出すために基盤となる新しい社会的思想を求める。人が精神的安定を得るためには思想が必要である。現代日本を支える思想は何だろうか。日本国民の顔に死相が浮き出ているといいたくなる事件が多発する。