[109]依存心が神を創造し自立心が破壊する
[父性的恐怖的罪意識と母性的慈悲的罪意識]
◎父性的恐怖的罪意識は、外から来る処罰を恐れての罪意識で、罪を罰して償わせる。他方母性的慈悲的罪意識は、過ちを犯したことが許されることによってすまないとの罪意識が内面に芽生え、罪を認めて謝る。西洋はどちらかといえば、父性(外面)的で、東洋は母性(内面)的だが、キリスト(愛)は母性である。
[生命は、環境から良いものを手に入れて、悪いものを放り出す]
◎悲しい･苦しい･つらいことを自分の中に持っておくのは耐え難い。生命は、環境から良いもの(高エネルギー･低エントロピー)を手に入れて、悪いもの(低エネルギー･高エントロピー)を放り出す。悪いものを貯めておくと病気を作る、体にも心にも。自分にとっての悪を吐き出して楽になりたい。それを受け取ってくれる相手が神である。
[悪を背負わせる犠牲の羊]
◎その結果、悪いものを全部背負わせる犠牲のヒツジを作り上げたり、悪を何もかも一人に押しつけるいじめを生み出したり、悪を避け良いものを求めて神への捧物として人柱を立てたりもする。このようにして現世利益の神々が創造される。
[神は最上の苦情処理係]
◎神は最上の苦情処理係である。人間は不完全であり、神は完全であるから、判断を最上位の神に仰ぐ、ついでに責任を神にかぶせる。バチだたたりだとすべての原因を神にきせる。(上位者への)依存心が強い間はこれでうまく行く。
[昔は心理的悪も身体的悪も宗教が引き受けた]
◎昔は心理的悪も身体的悪も宗教が引き受けた、取り仕切った。これを科学的に行おうとするのが、カウンセリング(心理学)であり医学である。カウンセリングは心理的な部分を取り扱い、身体的苦情は医学が引き受ける。この結果、新しい紙(カルテ)は使うが、古い神はお払い箱に捨てられる。
[科学帝国主義が全世界を覆おう]
◎ヨーロッパの中世は宗教(キリスト教)が生活全般を取り仕切ったが、今や科学技術が同じことをする。科学帝国主義が全世界を覆い始めている。宗教がした過ちを科学はまさに繰り返そうとする。歴史は繰り返される、糸車のように。
